ガリバー旅行記 ③飛島ラピュタ 17/61
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 彼等は朝から晩まで、こんなふうなことを考えて、ビクビクしています。夜も、よく眠れないし、この世の楽しみを味わおうともしないのです。朝、人に会って、第一にする挨拶は、
「太陽の具合はどうでしょう。日の入り、日の出に、変わりはございませんか。」
「今度、彗星がやって来たら、どうしたものでしょうか。なんとかして助かりたいものですなあ。」
 と、こんなことを言い合うのです。それはちょうど、子供が幽霊やお化けの話が怖くて眠れないくせに聞きたがるような気持ちでした。
 私はひと月もたつと、この国の言葉がかなりうまくなりました。国王の前に出ても、質問はたいがい答えることができました。陛下は、私の見た国々の法律、政治、風俗などのことは、少しも聞きたがりません。その質問といえば、数学のことばかりでした。私が申し上げる説明を、ときどき、叩き役の助けをかりて聞かれながら、いかにも、つまんなそうな顔つきでいられます。
--おわり--