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「陛下の御足の前の塵をなめさせていただきたいのですが、いつお伺いしたらいいか、御都合をお知らせくださいませ。」と、私の使者は王にこう申し上げました。
はじめ私は、『塵をなめる』というのは、ただ、この国の宮廷の言いまわしで、『お目にかかる』という意味だろう、と思っていました。ところが、その後、これはほんとに塵をなめるのだということがわかりました。
宮廷に着いて二日目に、私はいよいよ陛下の前に呼び出されました。すると、私は腹這いになれ、と命じられました。そして、陛下の前まで進んで行き、床の塵をペロペロなめろ、と言われました。もっとも私は外国人なので、特別の扱いをされて、床は綺麗にしてありましたので、塵も大したことはなかったのです。しかし、これは全く特別扱いで、この国の一番偉い人と同じように扱ってくれたわけです。
--おわり--
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