アッシャー家の崩壊 16/53 (ポー)
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彼は自分の病気の性質と考えていることを少し詳しく話しだした。彼のいうところによると、それは生まれつきの遺伝的な病であり、治療法を見出すことは絶望だというのであった。もっともただの神経の病気で、いまにきっと治ってしまうだろう、と彼はすぐつけ加えたが。その病気は多くの不自然な感覚となってあらわれた。そのなかの二、三は、彼が詳しく話しているあいだに、おそらくその言葉づかいや全体の話しぶりの関係からだったろうが、私にたいへん興味を感じさせ、また驚かしたのであった。彼は感覚の病的な鋭さにひどく悩まされているのだ。もっとも淡泊な食物でなければ食べられない。ある種の地質の衣服でなければ着られない。花の香りはすべて息ぐるしい。眼は弱い光線にさえ痛みを感じた。彼に恐怖の念を起こさせない音はある特殊な音ばかりで、それは絃楽器の音であった。
--おわり--