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それだけで十分。青木さんも、目もと涼しく、肌が白くやわらかで、愚かしいところの無いかなりの美人ではあったが、キヌ子と並べると、まるで銀の靴と兵隊靴くらいの差があるように思われた。二人の美人は、無言で挨拶を交わした。青木さんは、既に卑屈な泣きべそみたいな顔になっている。もはや、勝敗の数は明らかであった。
前にも言ったように、田島は女に対して律儀な一面も持っていて、いまだ女に、自分が独身だなどとウソをついた事が無い。田舎に妻子を疎開させてあるという事は、はじめから皆に打ち明けてある。それが、いよいよ夫の許に帰って来た。
--おわり--
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