▲ | 325 | 0 | 0 | 00:00 | ▼ |
文字数 | 入力 | 誤字 |
「何を習えと言ったんだ。おれはいそがしいんじゃないか。それに眠いんだよ。」狸の子はにわかに勢いがついたように一足前へ出ました。
「ぼくは小太鼓の係でねえ。セロへ合わせてもらって来いと言われたんだ。」
「どこにも小太鼓がないじゃないか。」
「そら、これ」狸の子はせなかから棒きれを二本出しました。
「それでどうするんだ。」
「ではね、『愉快な馬車屋』を弾いてください。」
「なんだ愉快な馬車屋ってジャズか。」
「ああこの譜だよ。」狸の子はせなかからまた一枚の譜をとり出しました。ゴーシュは手にとってわらい出しました。
「ふう、変な曲だなあ。よし、さあ弾くぞ。おまえは小太鼓を叩くのか。」ゴーシュは狸の子がどうするのかと思ってちらちらそっちを見ながら弾きはじめました。
--おわり--
▲ | ▼ |