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俗念は無益なことだ。ヒメに本心があるとすれば、あどけない笑顔が、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの現身にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それが全部であることがすでに定められたようなものだった。どうやらホーソー神が通りすぎた。この村の五分の一が死んでいた。長者の邸には多数の人々が住んでいるのに、一人も病人がでなかったから、オレの造ったバケモノが一躍村人に信心された。
長者がまっさきに打ちこんだ。
「耳男があまたの蛇を生き裂きにして逆吊りにかけ生き血をあびながら呪いをこめて造ったバケモノだから、その怖ろしさにホーソー神も近づくことができないのだな」
ヒメの言葉をうけうりして吹聴した。
--おわり--
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