モルグ街の殺人 21/92 (ポー作,佐々木直次郎訳)
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これはもとウリオンと書いたのをいまではオリオンとなっていることを言ったものだと話したことがある。で、この説明に関したある辛辣な皮肉から、君がそれを忘れるはずがないのを僕は知っていた。だから、君がオリオンとシャンティリという二つの観念をかならず結びつけるだろうということは明らかだった。はたして君がそうしたということは、君の唇に浮かんだ微笑の様子でわかった。君はあのかわいそうな靴直しがやっつけられたことを考えたのだ。それまでは君はこごんで歩いていたが、そのとき体をぐっと十分に伸ばした。そこで僕は君がシャンティリの小柄なことを考えたということを確信したよ。で、そのときに君の黙想をさえぎって、ほんとにあいつは――あのシャンティリは――小男だから、寄席のほうが向くだろう、と言ったのさ」
 それからしばらくたったころ、『ガゼット・デ・トゥリビュノー』の夕刊に眼を通していると、次のような記事が我々の注意をひいたのである。
--おわり--