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あなたに蔑まれるかも知れませんけど、、こんなお話に嘘を交ぜると、何もかもわからなくなりますから正直に告白しますが……。手早く申しますと私は、事情の如何に拘わらず、その宝石が欲しくてたまらなくなったのです。私の血管の中に、先祖代々から流れ伝わっている宝石愛好欲が、リヤトニコフの宝石を見た瞬間から、みるみる松明のように燃え上がって来るのを、私はどうしても打ち消すことが出来なくなったのです。そうして「もしかすると今度の斥候旅行で、リヤトニコフが戦死しはしまいか」というような、頼りない予感から、是非とも一緒に出かけようという気持ちになってしまったのです。うっかりすると自分の生命が危ないことも忘れてしまって……。
しかも、その宝石が、間もなく私を身の毛もよだつ地獄に連れて行こうとは、、そうしてリヤトニコフの死後の恋を物語ろうとは、誰が思い及びましょう。
--おわり--
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