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縁側には、誰も座っていないで、白い座蒲団だけが一つ、置かれていました。青と黄色と、白だけの画でした。見ているうちに、私は、もっとひどく、立っていられないくらいに震えて来ました。この画は、私でなければ、わからないのだと思いました。真面目に申し上げているのですから、お笑いになっては、いけません。私は、あの画を見てから、二、三日、夜も昼も、からだが震えてなりませんでした。どうしても、あなたのとこへ、お嫁に行かなければ、と思いました。蓮葉な事で、からだが燃えるように恥ずかしく思いましたが、私は母にお願いしました。母は、とても、いやな顔をしました。私はけれども、それは覚悟していた事でしたので、あきらめずに、こんどは直接、但馬さんに御返事いたしました。但馬さんは大声で、えらい! とおっしゃって立ち上がり、椅子に躓いて転びましたが、あの時は、私も但馬さんも、ちっとも笑いませんでした。--おわり--
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