酒癖の悪い父親が庭で頭を殴られて死んでいた。疑心暗鬼に陥る家族四人。江戸川乱歩が30歳の時に発表した、会話体で進行する傑作心理ミステリー作品
- IA00585 (2020-01-20 評価=5.00)
妹が凶器を土に埋めた様に、おれもこの発見を心の底へ埋めてしまった方がいいのかも知れない。だが、どうしても事の真相を知らないと、安心が出来ないのだ。 - IA00586 (2020-01-20 評価=5.00)
分からないのは妹がおれを疑っている様なそぶりだ。若いだけに敏感な妹は、何かの空気を感じているのだろうか。自分自身までが、妙に不安になり出した - IA00587 (2020-01-20 評価=5.00)
■約一ヶ月後■ 精神的苦痛は、人間をいたいたしくするようだ。体に力がなくて、雲にでも乗っている様な気持ちだ。父親の問題はすっかり解決したので報告したい - IA00588 (2020-01-20 評価=5.00)
「その犯人というのが、驚いちゃいけない、××××だったのだよ」「馬鹿馬鹿しい、全然不可能じゃないか」「不可能? 君はそう思うかい」 - IA00589 (2020-01-22 評価=5.00)
人間の心理作用なんて、実に妙なものだね。非常に重大なことを、すっかり忘れて平気でいる。それがどうかした偶然の機会に、ふっとよみがえって来る - IA00591 (2020-01-22 評価=5.00)
フロイトの説によると、欲望の大部分は遂行されないでほうむられてしまう。思い出しては都合の悪い記憶は知らず知らず無意識界へ幽囚してしまう