走れメロス (太宰治) 22分割 | 入力文の数= 22 << < 1 2 > >> |
王の暴虐な行為を正そうとしたメロスは死刑を宣告され、親友を人質に三日間の猶予を求めた…。30歳の太宰治が友情をテーマに執筆した不滅の短編小説
文字数
493
IA00720 (2020-05-03 評価=4.40)
メロスは妹の結婚式の品々を買うためにシラクスの市にやって来た。だが市は妙にひっそりとしていた
文字数
537
IA00721 (2020-05-03 評価=4.50)
路で逢った老爺は、ひっそりとしている理由は王が親戚や賢臣をはじめ、大勢の人を殺すからだ、と答えた。メロスは激怒した
文字数
430
IA00722 (2020-05-03 評価=4.50)
メロスは王城に入ったが、すぐに捕縛されて王の前に引き出された。人の心を疑うのは最も恥ずべき悪徳だと主張するメロスに対し、暴君は「人間は私欲のかたまりだ」と反論した
文字数
439
IA00723 (2020-05-03 評価=4.50)
メロスは妹に結婚式を挙げさせるため、王に処刑まで三日間の猶予を申し出た
文字数
467
IA00724 (2020-05-03 評価=5.00)
メロスは、友人のセリヌンティウスを人質にする事を申し出た。王はほくそ笑み、三日目の日没までに帰らなければ、友人を処刑し、メロスの罪は永遠に許してやる、と約束した
文字数
518
IA00725 (2020-05-03 評価=5.00)
セリヌンティウスは王城に召され、縄打たれた。メロスは一睡もせずに村へ帰り、妹に翌日結婚式を挙げるよう告げた
文字数
523
IA00726 (2020-05-03 評価=5.00)
結婚式は無事行われ、皆は陽気に歌をうたい、手を拍った。だが、外は車軸を流すような大雨が降っていた
文字数
473
IA00727 (2020-05-03 評価=5.00)
メロスは、一生このまま村にいたい、と思ったが、出発を決意した。花嫁に結婚の心得を話すと、出発の前に一眠りすることにした
文字数
389
IA00728 (2020-05-03 評価=5.00)
メロスは翌る日の薄明かりの頃眼が覚めた。すぐに出発すれば十分間に合う。雨もいくぶん小降りになっていた
文字数
417
IA00729 (2020-05-03 評価=5.00)
メロスは友を救い、王の奸佞邪智を打ち破るために走った。だが、全里程の半ばに到達した頃、災難が降って湧いた
文字数
433
IA00730 (2020-05-03 評価=5.00)
前方の川はきのうの豪雨で橋が破壊されていた。渡し船も残らず浪にさらわれ、濁流が躍り狂っていた
文字数
443
IA00731 (2020-05-03 評価=5.00)
メロスは流れに飛び込み、押し流されつつも、見事対岸の樹木にすがりついた。だが、先を急ぐメロスの前に一隊の山賊が躍り出た
文字数
450
IA00732 (2020-05-03 評価=5.00)
メロスは山賊を殴り倒すと、一気に峠を駈け降りた。だが疲れ切って動けなくなり、路傍の草原に寝ころがった
文字数
451
IA00733 (2020-05-03 評価=5.00)
もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、メロスの心の隅に巣くった
文字数
480
IA00734 (2020-05-03 評価=5.00)
私は、おくれて行くだろう。王は私を笑い、私を放免するだろう。私は永遠に裏切り者だ
文字数
387
IA00735 (2020-05-03 評価=5.00)
ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。だが、メロスは湧き出ている清水を一くち飲んだ
文字数
443
IA00736 (2020-05-03 評価=5.00)
肉体の疲労回復と共に、わずかながら希望が生まれた。私は信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。 走れ! メロス
文字数
394
IA00737 (2020-05-03 評価=4.00)
メロスは黒い風のように走るうちに、ほとんど全裸体となり、口から血が噴き出た。ようやく、はるか向こうにシラクスの市の塔楼が見えた
文字数
495
IA00738 (2020-05-03 評価=5.00)
セリヌンティウスの弟子のフィロストラトスがもう諦めるように、とメロスを呼び止めた。だが、メロスは信じられているから走るのだ、と走り続けた
文字数
486
IA00739 (2020-05-03 評価=5.00)
メロスは最後の残光が消えようとした時、刑場に突入した。だが、喉はつぶれてしわがれた声が、かすかに出るばかり。群衆の中で声は刑吏に届かない…