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秘密 (谷崎潤一郎) 38分割入力文の数= 38 <<   1  2   >>

賑やかな人間関係を断ち、寺に住居を移した男。女装を楽しむうち昔の女に偶然出会う…。人に言えない楽しみを、谷崎潤一郎が濃密に描く「秘密」の物語

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    388
    IA02147 (2021-09-30 評価=4.00)

    女の動作は優雅で表情に富み、二つの宝石のような瞳を持つ顔が男の心を誘惑した。場内の視線は私を離れており、私は、自分がかつて棄てた女の美貌に嫉妬と憤怒を感じ始めた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    360
    IA02148 (2021-09-30 評価=5.00)

    私の胸の中に恋慕の情が生じた。私は半紙に鉛筆で「予は再び君を恋し始めたり…」と書き始め、明日の今頃ここで逢いましょうという内容の文語体の手紙を、女の袂に投げ込んだ

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    389
    IA02149 (2021-10-01 評価=5.00)

    映画が終わった混雑の際、女は私の耳元で「見付けたわ」と英語で囁くと、男と一緒に帰って行った。その後、私が家に着いて服を脱ぐと、頭巾から小さな洋紙が落ちてきた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    365
    IA02150 (2021-10-01 評価=5.00)

    「思いがけなき君の姿を見申し候…」と彼女からの文語体の返事だった。女装の私に気づいていたことに触れ、考えがあるので、明夜九時頃雷門に人力車を迎えにやると書いてある

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    388
    IA02151 (2021-10-03 評価=4.00)

    ただし、住所を知られたくないので目隠ししてもらう、との事。私は探偵小説のような好奇心と恐怖を覚えた。翌日の夜は大雨だったので、私は高級外套と雨傘を携えて出かけた
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    文字数
    370
    IA02152 (2021-10-03 評価=4.00)

    おびただしい雨量の中、雷門へやって来た私はしょんぼり立ちながら、辺りを見回した。やがて吾妻橋の方角の暗闇から旧式な相乗りの人力車がやって来て、私の前で止まった

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    367
    IA02153 (2021-10-04 評価=5.00)

    車夫は布を私の両眼の上へ巻きつけ、私を掴んで乗せると、座席の隣には女が一人乗っているのに気付いた。人力車は走り出すと、方向をくらますために何度も曲がった
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    372
    IA02154 (2021-10-04 評価=4.00)

    目隠しの監督で同乗している女はT女であろう。海上で知り合った夢のような女、渾然たるミステリーの世界だ。一時間程で車は停まり、10メートル程路地を歩いて家に入った

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    395
    IA02155 (2021-10-05 評価=5.00)

    女は体を寄せて無言で私の目隠しを解いた。立派な八畳位の部屋だ。待合(貸座敷)か堅気の住まいかわからない。女は若い髪型に粋な着物と、昨夜と全く異なる趣で挨拶した
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    377
    IA02156 (2021-10-05 評価=5.00)

    女は葡萄酒をコップに注ぎながら「あなたを忘れることは出来ませんでした。もう棄てないで下さい」と打ちしおれた様子で言う。その哀韻を含んだ一言一句は、私の胸に響いた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    375
    IA02157 (2021-10-06 評価=4.00)

    現実とも幻覚とも区別つかない Love adventure は面白く、私は毎晩のように女の許に通った。時日が経つにつれ、自分が目隠しで通う場所がどの辺なのか知りたくなった
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    362
    IA02158 (2021-10-06 評価=5.00)

    ある晩、私は「ちょっとだけ目隠しを取ってくれ」と女にせがんだ。女は秘密を知られれば、自分はもう『夢の中の女』ではなくなり捨てられる、と嫌がったが、私は強引に頼んだ

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    文字数
    406
    IA02159 (2021-10-07 評価=5.00)

    女は目隠しの布を取った。どこの街か見当は付かなかったが、賑やかな商店街の突き当たりに、精美堂という印鑑店の看板が見えた。地番を目で探しているとすぐ目隠しをされた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    386
    IA02160 (2021-10-07 評価=4.00)

    子供時代に経験した謎の世界のようだった。私が「誘惑されて幻の国へつれて来られたようだ」と話すと、女は「そういう気持ちを持ち続けて下さい」と涙を流した様子だった

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    投稿 TypetrekJさん
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    391
    IA02161 (2021-10-08 評価=4.00)

    私は毎夜のように引きずり回されるうち、回る度数や曲がる回数などを記憶した。ある朝、私は雷門から車と同じように走ってみて、密会場所をたどることにした
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    投稿 TypetrekJさん
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    361
    IA02162 (2021-10-08 評価=4.00)

    私は小路を進み、印鑑屋を探した…。 「私」と女の密会の場所は? 女の正体は? 以降は、ぜひタイピング入力してみましょう

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    投稿 TypetrekJさん
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    345
    IA02163 (2021-10-09 評価=3.00)

    犬が、路上の匂いを嗅ぎつつ自分の棲み家へ帰るように、私はまた走り出した…
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    投稿 TypetrekJさん
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    408
    IA02164 (2021-10-09 評価=5.00)

    谷崎潤一郎「秘密」1911(明治44)年11月