幸徳秋水39歳。戦争礼賛の時代、非戦論を主張した彼は明治天皇暗殺計画に関与したとして逮捕され、証拠不十分のまま死刑を宣告された。
死刑を前に、冷静に死生観を綴ったエッセイです
- IA03332 (2023-03-15 評価=5.00)
維新の革命で力のあった人びとは、二十代から三十代で、彼らは働きざかりの時期に力のかぎり働いて死に所を得た。死に所をえず、気の毒な生き恥をさらしている人も多い - IA03333 (2023-03-16 評価=5.00)
二葉亭四迷が外遊中に亡くなって皆が哀悼した時、友人が戯れ言で「君も先年の渡米の際死んでいたら哀悼されたなあ」と言った事がある。その時が死すべき時であったのかもしれない - IA03335 (2023-03-17 評価=5.00)
■五 死刑は事前に覚悟する事ができ、苦痛を伴わない。死刑がおそれられるのは、死刑が主に社会的に恥ずべき極悪な人に対して行われるからである - IA03336 (2023-03-17 評価=5.00)
本来、死刑は極悪・重罪の人が対象だが、実際には善良・賢明な人や普通の人も多数処刑されている。コルデーの言葉が示すように恥ずべきは罪悪であり、死刑ではない - IA03337 (2023-03-18 評価=5.00)
歴史上、死刑になった多くの人々には、賢哲、忠臣、学者、詩人等がいる。刑台が恥辱・罪悪という事実と同時に、光栄・名誉になった例もある - IA03338 (2023-03-18 評価=5.00)
世界の歴史において、多数の人々が冤罪で死刑に処されている。宗教裁判、安政の大獄などの日本幕府の歴史、ロシア革命運動、中国の歴史を見ても、刑死した者は多い - IA03339 (2023-03-19 評価=5.00)
死刑は法律で課されるが、死刑が常に恥辱や罪悪を意味すると断言できるだろうか。わたしが恥じ、おそれるのは、死刑に処されることではなく、自分が罪人であることだ - IA03340 (2023-03-19 評価=5.00)
死刑に値するほどの犯罪があるか疑問であり、また古来の死刑の有効性についても議論はある。死は単に形体・組織の分解であり、死により誰かの言いなりになることはない - IA03341 (2023-03-20 評価=5.00)
わたくしは死を急ぐ者ではないが、死すべきとききたなら、安心と満足をもってこれにつきたい。
「死刑の前」幸徳秋水(こうとくしゅうすい)