ムジナモ発見物語 (牧野富太郎) 6分割 | 入力文の数= 6 |
水中食虫植物「ムジナモ」発見前後の顛末を牧野富太郎自身が、後年回顧したショートエッセイです。大きな発見でしたが、その前後に大きな葛藤がありました
- IA03666 (2023-08-20 評価=3.00)
私は、学界で反響のあった「ムジナモ」という珍奇な水草を、最初に日本で私が発見した時の物語について語ってみたいと思う。私は明治23年5月、江戸川区の小岩に赴いた - IA03667 (2023-08-21 評価=4.00)
私は江戸川近くの用水池で、水中に浮遊する珍しい水草を見つけた。大学の植物学教室に見せると皆驚き、矢田部教授がアルドロヴァンダ・ベンクローサである事を突き止めてくれた - IA03668 (2023-08-22 評価=4.00)
この植物はイシモチソウ科の食虫植物で、欧州、インド、豪州でのみ知られており、利根川流域が5カ所めの産地となった。その後京都の巨椋池でも発見されたが干拓のため絶滅した - IA03669 (2023-08-23 評価=4.00)
ムジナモは動物のしっぽの形だったので「ムジナ藻」と和名を付けた。緑色の水草で、水中の虫を捕らえて養分とするので根はない。この植物については悲しむべき事件が起こった - IA03670 (2023-08-24 評価=4.00)
矢田部教授の出版計画が私と重なり、私は植物学教室の出入りを禁じられたのだ。私が仕方なく、写生図を「植物学雑誌」に発表すると評判を呼び、ムジナモは日本でも名高い植物となった - IA03671 (2023-08-24 評価=3.00)
立派に花を開くムジナモは日本だけで、私の写生の花が有名な「ダス・プランツェンライヒ」誌に転載された。面目この上もないことである。
「ムジナモ発見物語」牧野富太郎著 昭和31年11月