幕末のシャーロックホームズ、岡っ引き半七(はんしち)。江戸の町に発生する不思議な事件を次々と解決する。古さを感じさせない岡本綺堂の連作短編小説
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■三 Kのおじさんは堺屋で奉公人の出入り帳を三十年前まで調べたが、「おふみ」だけでなく「ふ」の字の付く女の名も見当たらなかった - IA04766 (2025-07-27)
そのうち、四十二三の痩せぎすの男が声をかけてきた。半七という岡っ引きで、おじさんはその妹に常磐津(ときわず、浄瑠璃)を習っていて親しくしていた - IA04767 (2025-07-28)
半七は仲間うちで影響力があり、江戸っ子気風、誰に対しても親切であった。おじさんは半七に知恵を借りようと思いつき、堺屋の二階を借りて相談することにした - IA04768 (2025-07-28)
おじさんが番町皿屋敷の女の幽霊に似ていることを伝えると、半七は草双紙について尋ねた。おじさんは「草双紙はお屋敷の奥で読まれ、貸本屋の田島屋が出入りしている」と答えた - IA04769 (2025-07-30)
すると半七は「二、三日で判ると思うので、わたくしにお任せください」と言う。Kのおじさんが了解すると、半七は「小幡の屋敷へ報告する都合上、明日から同行願いたい」と依頼した - IA04770 (2025-07-30)
翌日半七はKのおじさんと貸本屋に行き、薄墨草紙という草双紙(絵主体の読み物)を貸したことを聞き出した。その本を確認すると、武家の奥方と腰元風の若い女が一緒にいる挿し絵があった - IA04771 (2025-07-31)
庭先の池から出てきたらしい濡れた腰元の幽霊が描かれており、頭の中のおふみそっくりだった。本の名は「新編うす墨草紙」といい、おじさんは二冊借りて店を出た - IA04772 (2025-07-31)
その後二人は小幡の菩提所の浄円寺に行き、住職に会った。二人は打ち合わせた通り、小幡の屋敷で奥さんの枕もとに女の幽霊が出る、その退散のため加持祈祷のすべはないか、と相談した - IA04773 (2025-08-01) NEW
住職は不安そうにしていたが、得脱の祈祷を引き受けた。だがその後精進料理と酒で二人をもてなした。さらに紙につつんだものを半七に渡そうとしたので、半七は突き戻した - IA04774 (2025-08-01) NEW
それらは住職の降伏を証明していた。おじさんは子供が、なぜふみが来たと言ったのか理解不能だったが、半七が、住職は悪い奴だがもう詰まらない事は言わないだろう、と言った事を信じた - IA04775 (2025-08-03) NEW
■四 おじさんが翌日小幡をたずね、まるで一人で調べたように草双紙と坊主について報告した。そこで小幡はお道に「新編うす墨草紙」を示し「浄円寺の僧と不埒(ふらち)があるのか」と詰問した - IA04776 (2025-08-03) NEW
お道は不埒は働いていないと明言したが、ついに秘密を白状した。浄円寺に参詣した際、和尚から「ご亭主を持っていられると命にかかわる。独り身になった方がよい」と諭されたと話した - IA04777 (2025-08-04) NEW
さらにお道は、禍を避ける工夫をしないと、娘も災難からのがれることはできない、と言われたと声を立てて泣いた。お道はなんとか娘だけでも助けたいと思ったという - IA04778 (2025-08-04) NEW
お道は夫の家を去るしかないと思った。3月の雛祭りの際、娘がいつまでも無事でいるか、心配になった。そして雛をかたづけた日、お道が読んでいた草双紙をお春がのぞいていた - IA04779 (2025-08-05) NEW
お道は娘に「お前もおとなしくしないと、庭の池から怖い女のお化けが出ますよ」と言った。すると、この言葉を契機としてその晩から「ふみが来た!」と叫ぶようになってしまった - IA04780 (2025-08-05) NEW
お道は住職の教えに従い、幼児がお文の名を呼ぶことを利用して怪談を口実に夫の家を去ろうとしたのであった。小幡は妻を叱ったが、我が子を思う気持ちを察し、ゆるした - IA04781 (2025-08-08) NEW
小幡は義兄や家来たちの手前、お文の魂の追善供養を営んだので、世間には功力によって収まったと伝えられた。お春も医師の療治で夜泣きをやめ、おじさんは半七の眼力に感服した - IA04782 (2025-08-08) NEW
浄円寺の住職は半年後、女犯(にょぼん)の罪で寺社方に捕らわれた。彼女は危ういところを半七に救われたのだった。Kのおじさんは誰にも話さないように、と私に口止めした