日本橋の小間物屋「菊村」の娘お菊が行方不明となり、翌日母親が刺殺された。果たして娘が犯人なのか? 若い半七の推理が冴える、半七捕物帳第二篇
- IA04807 (2025-08-30)
■3 半七は女の足跡らしいと認めたが、お菊が高塀を昇り降りしたとは思えない。半七は何か考えると、両国の広小路の繁華街に向かった。見世物小屋が客寄せを始める時刻だった - IA04808 (2025-08-30)
半七は並び茶屋の一軒に入り、春風小柳という女軽業師(かるわざし)と一緒にいる男が元呉服屋に奉公していた金次で、家が向う両国(両国橋の東側)であることを聞き出した - IA04809 (2025-08-31)
半七は軽業師一座の見世物小屋で、春風小柳(しゅんぷうこりゅう)という女の曲芸を見た。三十近い厚化粧の女だが、見物人には受けていた。半七は金次の家へ向かった - IA04810 (2025-08-31)
金次は不在だったので、隣のおかみさんに断って中に入ると、二間の奥の四畳半には黄八丈の女物の着物がかかっており、まだ乾いていない。入り口で待っていると、男が帰って来た - IA04811 (2025-09-04)
金次は半七と同じ年頃の小粋な遊び人で、半七とは面識があった。金次が岡っ引きとはいえ、留守中に家を覗いたことを謝ると、金次は顔色を変えた - IA04812 (2025-09-04)
半七が「年上の女の世話になっている以上、仕方なく悪事の片棒かつぐような破目になるかもしれねえ。正直に言え」と迫ると、金次は諦め「申し上げます」と畳に手を突いた - IA04813 (2025-09-05)
金次は言った。「小柳と浅草に行った時、菊村の娘が茶屋から出て来るのを見かけたのです。最近の小柳は借金がかさんでヤケになっていたようで、あいつを食い物にしようと言うのです」 - IA04814 (2025-09-05)
「小柳が娘をだまして駕籠に乗せ、連れ帰りました。私は仕方なく娘に猿ぐつわをして戸棚に押し込みました」と金次が白状すると、半七は「鬼婆のような女だ」と洩らした - IA04815 (2025-09-08)
そして金次は「娘は女衒(ぜげん、人身売買業者)を呼んで潮来(いたこ)の遊郭に40両で売りました。さらに小柳は着ていた黄八丈(着物)で娘に化け、金を盗むために菊村に忍び込みました」と話す - IA04816 (2025-09-08)
「おととい、きのうと二回出て行きましたが、二回目は『かかあが大声を出したので土手っ腹をえぐってやった』と言ったので私はふるえました。今日は小屋に出ています」と言った - IA04817 (2025-09-10)
半七は慈悲を願う金次に、神田の親分の所まで来てもらうことにした。「近所の手前、縄は勘弁してやるぜ」と温情を見せると、若い金次の眼はうるんでいた - IA04818 (2025-09-10)
■4 親分の吉五郎は驚くと同時に半七に大出来だとほめ、手先二人を連れて小柳を引き立ててくるよう命じた。半七は出し物がはねる頃見世物小屋に入り、小柳に同行するよう告げた - IA04820 (2025-09-11)
半七が小柳をせかしながら楽屋を出た。小柳は外に待つ二人の手先を見ると、家へ寄りたいと言った。金次はいないと伝えても「女ですから支度をしたい」と睫毛に露を光らせた - IA04821 (2025-09-12)
大川の橋の上で、小柳は眼を拭きながら歩いていた。その時、彼女はだしぬけに「金さん、堪忍しておくれよ」と叫んで逃げ出すと、欄干に手をかけて大川に飛び込んだ - IA04822 (2025-09-12)
翌日、河岸の百本杭に引っかかった小柳の死体が発見された。そして菊村ではお菊を潮来から取り戻すことができた。お菊は誘拐の際、清次郎が急病だと小柳に騙されたと語った - IA04823 (2025-09-14)
お菊が誘拐時の様子を係役人に詳細に語ったので、番頭の清次郎は「叱りおく」だけで許された。死んだ小柳は、小塚原刑場でさらし首になり、金次は遠島が申し付けられた - IA04824 (2025-09-14)
その後親分の吉五郎が死んだので、遺言で娘のお仙と跡式を譲り受けて二代目親分となった。半七は、どうして小柳に目を付けたか問うた。理由は本文を入力してください