
ジャンル1
エッセイ

ジャンル2
著作権フリー
文字数
498

【タイトル】 | ここが楢山〈母を語る〉(小津安二郎) |
【ひとこと】 | 小津安二郎は日本映画黄金期に「東京物語」などで世界的な評価を得た映画監督。「ここが楢山」は昭和33年に週刊誌に掲載された、多忙な映画製作者の愛情溢れるエッセイ |
【入力文内容】 表示する
母は明治八年生まれ。三男二女をもうけて、僕はその二男に当たる。他の兄妹は、それぞれ嫁をもらい、嫁にゆき、残った母と僕との生活が始まってもう二十年以上になる。
一人者の僕の所が居心地がいいのか、まだまだ僕から目が離せないのか、それは分からないが、とにかく、のんきに二人で暮らしている。
母は、朝早く夜早く、僕はその反対だから家にいても滅多にめしも一緒に食わない。
去年頃までは、なかなかの元気で、一人で食事の支度から雨戸の開けたて、僕の蒲団の上げおろしまでやってくれたが、今年から、いささか、へばって家政婦さんに来てもらっている。無理もない。八十四である。人間も使えば使えるものだと、つくづく思う。それにしても、五十五や六十の定年は早すぎる。
今住んでいる家は、北鎌倉の高みにあり、出かけるのも坂があるので、母は滅多に家から出ない。ここがもう楢山だと思っているらしい。
若いころの母は大女の部類で、今でも年の割には大婆の方である。負ってはみないが重そうである。
たらちねの母を背負いてそのあまり
重きに泣きて楢山にゆく
ここが楢山なら、いつまでいてもらってもいい。負って行く世話がなくて、僕も助かる。
母は明治八年生まれ。三男二女をもうけて、僕はその二男に当たる。他の兄妹は、それぞれ嫁をもらい、嫁にゆき、残った母と僕との生活が始まってもう二十年以上になる。
一人者の僕の所が居心地がいいのか、まだまだ僕から目が離せないのか、それは分からないが、とにかく、のんきに二人で暮らしている。
母は、朝早く夜早く、僕はその反対だから家にいても滅多にめしも一緒に食わない。
去年頃までは、なかなかの元気で、一人で食事の支度から雨戸の開けたて、僕の蒲団の上げおろしまでやってくれたが、今年から、いささか、へばって家政婦さんに来てもらっている。無理もない。八十四である。人間も使えば使えるものだと、つくづく思う。それにしても、五十五や六十の定年は早すぎる。
今住んでいる家は、北鎌倉の高みにあり、出かけるのも坂があるので、母は滅多に家から出ない。ここがもう楢山だと思っているらしい。
若いころの母は大女の部類で、今でも年の割には大婆の方である。負ってはみないが重そうである。
たらちねの母を背負いてそのあまり
重きに泣きて楢山にゆく
ここが楢山なら、いつまでいてもらってもいい。負って行く世話がなくて、僕も助かる。
【総合評価】 | 4.00 |
※総合評価は5段階評価のユーザーアンケート「内容について」の平均値です | |
【入力文コード】 | IT00188 |
【投稿】 | TypetrekJ さん (ITA03016, 性別非公開) |
【公開日】 | 2018-12-29 18:17 (修正 2020-10-05 21:43) |
【文字含有率】
漢字 | ひらがな | カタカナ | 英字 | 数字 | 句読点・ 記号 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
文字数 | 147 | 304 | 0 | 0 | 0 | 47 | 498 |
文字含有率 | 29.5% | 61% | 0% | 0% | 0% | 9.4% | - |
※改行 は文字数には含まれません
【登録ユーザーのタイピングスコア】
入 力 数 | 3 | 回 |
平均入力時間 | 6分41秒 | (401秒) |
平均入力速度 | 745 | 文字/10分 |
※同じ人が複数回入力した場合その回数分カウントされます
入力スピード(入力文字数/10分)分布 | ||||
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600字~ | 33% | (1) | ||
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200字~ | 0% | (0) | ||
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【アンケート】
ユーザー評価 (内容について) | ||||
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【追加情報】
・青空文庫 記載事項
表 題:ここが楢山〈母を語る〉
著作者:小津安二郎
------------------
底本:「小津安二郎映畫讀本 [東京]そして[家族]」フィルムアート社
1993(平成5)年9月25日初版発行
1993(平成5)年11月12日第2刷
初出:「週刊朝日」
1958(昭和33)年8月10日号
入力:sogo
校正:仙酔ゑびす
2014年1月1日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
------------------
・TypetrekJ 修正点:
生れ→生まれ、当る→当たる、目が放せない→目が離せない、処→所、分らない→分からない、暮して→暮らして、
・青空文庫 記載事項
表 題:ここが楢山〈母を語る〉
著作者:小津安二郎
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底本:「小津安二郎映畫讀本 [東京]そして[家族]」フィルムアート社
1993(平成5)年9月25日初版発行
1993(平成5)年11月12日第2刷
初出:「週刊朝日」
1958(昭和33)年8月10日号
入力:sogo
校正:仙酔ゑびす
2014年1月1日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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・TypetrekJ 修正点:
生れ→生まれ、当る→当たる、目が放せない→目が離せない、処→所、分らない→分からない、暮して→暮らして、