妹の死の悲しみを癒やすため姉夫婦の家に滞在する峻(たかし)の生活。実体験を題材に、梶井基次郎の繊細で透明感のある代表作の一つ
- IA01815 (2021-04-22 評価=3.00)
そんな国定教科書風な感傷のなかに、彼は彼の営むべき生活が示唆されたような気がした。幼い時の回顧や新しい生活の想像とで彼の時々の瞬間が燃え、寝られない夜が来た - IA01816 (2021-04-22 評価=3.00)
冷たいカエデの肌を見ていると、子供の頃のござ遊びの感触が蘇った。足裏の感覚の快さを思いながら、カエデの肌にほっぺたを冷やしてみたいような衝動を感じた - IA01817 (2021-04-22 評価=3.00)
「私はおまえにゼリーと窓掛けをやろうと思う。できるまで待っているがいい…」ある日葉書へそんな遊戯を書いてしまうと、日頃の気持ちのむずがゆさを幾分はかせた気がした - IA01818 (2021-04-22 評価=3.00)
夜、静かに寝られない時、鳥の声を聞くと自分の身体のどこかがその声を出しているように思われることがある。眠れない夜のお決まりのコース。ひどくなると恐怖を伴うのだ - IA01819 (2021-04-23 評価=3.00)
彼はこの頃、それが妖術が使えそうな気持ちだと思うことがあった。寝ている時、シーツの上の暗黒の中に牧場と牛や馬の姿が本当に現れるような気がした - IA01820 (2021-04-23 評価=3.00)
■雨 八月終わり、信子は寄宿舎へ帰るらしく、天理様へ御礼に行った。行李を縛っていた兄が荷札を探しているが、信子も見つけられない。勝子が拾ってしまったのかもしれない - IA01821 (2021-04-23 評価=3.00)
「荷札ならここや」と母が軽い笑顔をしながら持って来た。晩には母が信子の土産に煎った豆を峻にもくれた。信子が近所の吉峰さんから何か借りて帰って来た - IA01822 (2021-04-25 評価=3.00)
借りて来たのは乳母車で、行李を乗せて停車場まで行く、と母が峻にわけを話した。彼は朝荷物を出すのは面倒だろうと思い「今から持って行って来ましょうか」と言ってみた - IA01823 (2021-04-25 評価=3.00)
母と娘と姪が夏の朝の明け方を、一人は乳母車をおし、一人はいでたちをした一人に手をひかれて歩いてゆく、彼はその出発を想像すると美しく感じ、心が洗われる思いだった - IA01824 (2021-04-25 評価=3.00)
雨が強くなった。信子がふだん着ていた着物が物干し竿にかかったまま雨に濡れていた…。峻の信子に対するほのかな恋心が察せられる最終回