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城のある町にて (梶井基次郎) 50分割入力文の数= 50 <<   1  2  3   >>

妹の死の悲しみを癒やすため姉夫婦の家に滞在する峻(たかし)の生活。実体験を題材に、梶井基次郎の繊細で透明感のある代表作の一つ

作家や目的で選ぶ

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    310
    IA01795 (2021-04-15 評価=4.00)

    芝居小屋のなかは蒸し暑く、みんなは老いた給仕係の女が座蒲団を敷いた一階席平場の後ろに座った。老女が煙草盆を持って来たが、チップを待つ不躾な様子が不愉快だった
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    369
    IA01796 (2021-04-15 評価=3.00)

    義兄が銀貨を出すと女が帰り、幕があがった。怪しげな名前の印度人が出てきて、わからない言葉を喋って席へ下りると、一人の男を立会人として舞台へ連れて行った

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    380
    IA01797 (2021-04-15 評価=4.00)

    印度人はひどい奴で、椅子に座った男の握手の手振りを醜く真似、首を縮めて嘲笑う。性のわるい悪ふざけだったが、見物はそのたびに笑った。そして紐や水の手品が始まった
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    393
    IA01798 (2021-04-15 評価=4.00)

    手品の林檎を例の男が食わされた。印度人が男を笑うので、彼自身不愉快になっていた。しかし、先ほどの美しい花火のことを思い出すと、立派な手品だったような気もした

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    305
    IA01799 (2021-04-16 評価=3.00)

    そんなことが彼の不愉快をだんだんと洗っていき、反対におもしろく見えて来た。済むと幕が下り、勝子が嘘のように「おもしろかった」と言ったので皆笑って遅く家へ帰った
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    369
    IA01800 (2021-04-16 評価=3.00)

    ■病気 姉が病気になった。横腹が痛み、高い熱が出ている。前の日の午後、姉が浮かぬ顔で遠くから帰って来たときに、少し力がないようでもあった

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    387
    IA01801 (2021-04-16 評価=3.00)

    姉の病気は結局、腎臓の故障だったことがわかった。姉は嫁いで来てから病気で寝たのはこれで二度目。最初の時は三重県の北牟婁(きたむろ)に住んでいた時だった
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    390
    IA01802 (2021-04-16 評価=3.00)

    峻の悪かった肺がややよくなった時、その北牟婁(きたむろ)の家に行ったことがあった。苗字のない木こりの子がいても村の人は当然の顔をしているような地方だった

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    392
    IA01803 (2021-04-18 評価=4.00)

    北牟婁で兄が病気で寝ていた時、兄の祖母が勝子を連れてすぐ近くの川へ行ったことがある。声がして川を見ると、お祖母さんが変な顔で手を振っており、勝子が流されていた
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    372
    IA01804 (2021-04-18 評価=4.00)

    川は雨のあとで水かさが増していた。兄はいきなり川へ跳び込み、勝子を橋の手前で捕らえた。勝子を差し上げて水を潜って橋をくぐると下手で上がり、兄は勝子の背中を叩いた

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    407
    IA01805 (2021-04-18 評価=4.00)

    勝子はけろりと気がつくと、踊り出し、兄はばかにされたような気がした。滑った拍子に気絶していたらしい。姉がお祖母さんがぼけたのはあれからでしたな、と兄に眼を向けた
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    378
    IA01806 (2021-04-18 評価=4.00)

    以後、お祖母さんは目に見えてぼけていって、一年ほどで死んだ。故郷ではなく、勝子のお守りでもする気で行った北牟婁の山の中で亡くなったので、峻は残酷な運命だと思った

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    384
    IA01807 (2021-04-20 評価=4.00)

    ■勝子 峻が原っぱに面した窓に寄りかかって外を見ていると、子供たちが見えた。男の子が勝子を倒して押さえる荒い遊びをしている。次は男の子が女の子の手を引っ張る遊びだ
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    392
    IA01808 (2021-04-20 評価=3.00)

    男の子が手を引っ張る力加減がおもしろいらしい。だが、得意げな男の子は力仕事をする人のような恰好をしていて、我が儘な勝子だけが婉曲に意地悪されているようにも見える

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    368
    IA01809 (2021-04-20 評価=3.00)

    勝子は不公平がわかっていても、やせ我慢を張っているようのかもしれない。倒されて地面とにらめっこをしながらも泣き出さない。彼は窓のそばを離れなかった
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    360
    IA01810 (2021-04-20 評価=3.00)

    峻にはふっと、勝子が注文して強くしてもらっているのかもしれない、と思えた。ありそうなことだ。夜、夕飯が済んで勝子が泣き出した。外でとげを立てて来たという

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    354
    IA01811 (2021-04-21 評価=3.00)

    嫌がる勝子に姉は怒ってしまい、掌を離してしまった。薬をつけておくことになった。峻は、勝子はとげをあの時立てて、やせ我慢を破裂させているようにも思えた
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    372
    IA01812 (2021-04-21 評価=3.00)

    ■昼と夜 彼は城のそばの崖の陰に立派な井戸があるのを見つけた。若い女の人が二人、洗濯物をすすいでいた。たらいの水は躍り出して花崗岩の畳石の上を、豊かに流れている

  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    315
    IA01813 (2021-04-21 評価=4.00)

    羨ましい、素晴らしく幸福そうな眺めだった。少年の時に歌った歌の文句が思い出された。また、その歌によって抱いた朗らかな新鮮な想像が、思いがけず彼の胸におし寄せた
  • ハ-トウォ-ミング
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    322
    IA01814 (2021-04-21 評価=3.00)

    国定教科書の活字や挿画のこと、手紙の文例の宛名のような人の名の書いてある奥付(おくづけ)の有様まで思い出された。それらはその頃の憧憬の対象だった