船中で知り合った謎の中国人父娘。極秘任務遂行中の私は、超常体験を語るこの二人に興味を引かれていく…。江戸川乱歩が賞賛した女流ミステリー作品
- IA01948 (2021-06-17 評価=3.00)
二人は私の部屋に来ることになった。が、部屋には何も食べるものがないので、お父さんがウイスキーやチョコレートを持って来た。「お話の続きを聞かせて下さい」と私は言った - IA01949 (2021-06-19 評価=3.00)
■4白い手袋 お父さんが話の続きを始めました。「召し使いが起きないので、私が玄関に行き、思いきって扉を開けると、ベランダの陰から『お父さま』と娘の声がしたのです」 - IA01950 (2021-06-19 評価=5.00)
「『私は生きていたの。誰かが指輪を盗もうとして指を切り、その痛さで気がついたの』と娘は言いました。血がしたたり、着物も血だらけでしたが、私は嬉しく、手を取りました」 - IA01951 (2021-06-20 評価=5.00)
「私は娘を部屋に連れて行き、傷の手当てをしてむせび泣きました。執事の黄(こう)を呼ぶと、娘を見た彼の驚き方は普通ではなく、震えだして狂気のように外へ飛び出しました」 - IA01952 (2021-06-20 評価=5.00)
私は眠気を催してきた。「墓を開けたのは執事の黄(こう)の仕業で、棺の蓋に釘を打つのを忘れたのです」という父親の声を聞きながら、私は何も分からなくなった - IA01953 (2021-06-21 評価=4.00)
■5失神 船が着いても、私が姿を見せない事を迎えの同僚が心配して、船員に頼んで船をくまなく探したところ、毛布に包まれ、死んだように眠っていた私を物置部屋で発見した - IA01954 (2021-06-21 評価=4.00)
私は意識を回復した。急いで胴中に手をやると、暗号(コード)は失われていた。全身の血が一時に逆流し、私は昨夜の出来事を思い返した - IA01956 (2021-06-22 評価=4.00)
…(略)…。私は自分の過失に眼の前が暗くなった。ハンカチを出そうとすると、ポケットから小さく折りたたんだ手紙が落ちた - IA01957 (2021-06-22 評価=4.00)
私は二人からの手紙を読んだ。…(略)…。敵国人とは言え私を友達と呼び、私への配慮も感じられた。だが、完全にだまされたのだ。私は手紙を破り捨てた