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ウィリアム・ウィルスン (ポー作,佐々木直次郎訳) 58分割入力文の数= 58 <<   1  2  3   >>

わがままな男ウィリアム・ウィルスン。だが一人の男だけがどうしても彼の意のままにならなかった…。抑制された文章で狂気を描くポーの傑作

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    453
    IA02254 (2021-11-21 評価=4.00)

    私に対する彼の返報で私を苦しめた悪戯が一つあった。私は自分の貴族的でない姓とありふれた名が嫌いで、かつ同名者の存在で何度も呼ばれたり、混同される事を嫌っていた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    402
    IA02255 (2021-11-21 評価=3.00)

    私のいらだたしい感情は、私達の類似性が示されるたびに強くなった。私達が血族という噂や、心や体、身分での類似があると言われることは、私をひどく苦しませた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    418
    IA02256 (2021-11-22 評価=4.00)

    彼は私の苦しみに気づくと私を模倣した。服装はもちろん、歩きぶり、態度、そして大声は出さないものの、私の声さえも模倣した。この精緻な肖像画はひどく私を悩ませた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    372
    IA02257 (2021-11-22 評価=4.00)

    ただ、その模倣は私しか気がつかないらしく、私は彼の微笑さえ我慢すればよかった。なぜ学校じゅうの者が彼の計画に気づかず、彼と一緒に嘲笑しなかったのか私には謎だった

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    文字数
    356
    IA02258 (2021-11-24 評価=3.00)

    彼は私一人にだけよくわかる模倣に、独創的な全精神を傾けた。私は彼がいまいましい態度をとったり、不愉快な忠告の性質で私に干渉するのが実に嫌いだった
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    397
    IA02259 (2021-11-24 評価=3.00)

    自分よりずっと鋭い道義心から出た彼の的確な忠告を、当時の私は軽蔑し、その傲慢さを憎んだ。彼の忠告を拒まなければ、自分は善良で幸福な人間になっていたかもしれない

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    412
    IA02260 (2021-11-25 評価=3.00)

    学校生活の終わり頃、彼は私が憎悪するようになると、私を避けるようになった。当時の彼との猛烈な争論の際、自分の幼いころの幻影が心に浮かび、ぎょっとした事があった
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    409
    IA02261 (2021-11-25 評価=3.00)

    彼が遙かな過去からの私の知り合いだという、その妄想はすぐ消え去った。大きな古い家には多くの区画に学生の大部分が寝ており、建物の隅や凹みも寝室に造ってあった

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    383
    IA02262 (2021-11-26 評価=3.00)

    ウィルスンはその戸棚のような小さな部屋にいた。学校へ入って五年目の終わりころ、私は意地悪な悪戯を彼に加えてやろうと、ランプを手に彼の寝室へ歩いて行った事がある
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    391
    IA02263 (2021-11-26 評価=3.00)

    私は彼の静かな寝息に耳をすまし、ランプを手にカーテンで閉じられた寝床に近づいた。カーテンを開けて彼の顔が見えたとき、胸がむかつくと同時に堪えがたい恐怖に襲われた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    361
    IA02264 (2021-11-27 評価=4.00)

    同じ名前、体つきだけでなく、歩きぶり、服装、態度などの執念深い模倣。それが人間の力でできることなのか? 彼の顔を見た時、私は畏怖の念に打たれて部屋を離れた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    416
    IA02265 (2021-11-27 評価=3.00)

    その後私がイートン(高校)の学生になると、彼との事がらを思い出しても、自分の遺伝的な溌剌たる想像力に微笑むだけとなり、すぐさま無分別な愚行に跳びこんだのだった

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    376
    IA02266 (2021-11-30 評価=3.00)

    その愚行の三カ年は私に悪徳の根ぶかい習慣を与えた。そのころ、一週間もの放蕩ののち、私は放縦な学生数人と自分の部屋で酒宴を開き、朝方まで乱痴気騒ぎを続けていた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    431
    IA02267 (2021-11-30 評価=3.00)

    すると、小使いが面会者が来ていると告げた。よろめきながら暗い玄関に出ると、同じくらいの身長で、自分と同じ流行の白いカシミヤのモーニング・フロックを着た青年がいた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    387
    IA02268 (2021-12-01 評価=4.00)

    男は私に歩みよると、耳元で「ウィリアム・ウィルスン」とささやくと、私は酔いがさめ、過ぎし日の記憶を呼び起こした。あの聞き慣れた、声の性質、音色と調子だったのだ
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    404
    IA02269 (2021-12-01 評価=4.00)

    男はすぐ立ち去ったが、私はこの事件にショックを受け、何週間か意味を考えた。その後、彼が家族の問題で、ブランスビイ博士の学校を私と同じ日に退いたことを知った

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    340
    IA02270 (2021-12-02 評価=3.00)

    その事はオックスフォードへの出発に紛れて忘れてしまった。その後、両親が虚栄心から、奢侈にふける十分な小遣いと学費を与えてくれたおかげで、私は飲み騒ぎに惑溺した
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    394
    IA02271 (2021-12-02 評価=3.00)

    私の金遣いの荒さは群を抜いていた。さらに賭博の卑劣な術策の達人となると、私は愚鈍な学生仲間から金を巻き上げていた。この情操に反する罪科が罰せられることもなかった

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    367
    IA02272 (2021-12-03 評価=3.00)

    実際、私を快活・率直・寛大と思っていた放縦な仲間は、誰も私の罪科を問題にしなかったのだ。二年ほどのそんな生活の後、グレンディニングという若い成金貴族が入ってきた
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    投稿 TypetrekJさん
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    388
    IA02273 (2021-12-03 評価=4.00)

    私は低能な彼と賭博をやって彼を勝たせ、最後にプレストン君の部屋で数人の会合を開いた。そして偶然を装ってカルタを持ち出し、彼から始めよう、と言い出すように仕向けた