わがままな男ウｨリアム・ウｨルスン。だが一人の男だけがどうしても彼の意のままにならなかった…。抑制された文章で狂気を描くポーの傑作
- IA02274 (2021-12-04 評価=3.00)
私は卑劣な術策を残らず使って、グレンディング相手に夜まで勝負を続け、得意のカルタゲーム「エカルテ」をした。彼は多額の借金を背負うと、度数の強いポルト酒を飲みほした - IA02275 (2021-12-04 評価=4.00)
彼は賭け金を二倍にしようと申し込んだ。私はいやそうに応諾すると、彼の借金を四倍に膨らませた。損害は莫大だが、測り知れない金持ちの彼への打撃はわずかと考えていた - IA02276 (2021-12-06 評価=4.00)
ゲームを終了しようとした時、彼は絶望の声をあげた。その声で私は彼に完全な破滅を与えたことを理解した。男の惨めな有様は、周囲に陰惨な雰囲気を投げかけた - IA02277 (2021-12-06 評価=3.00)
真面目な連中の私への非難の視線の中、突然重い両開き扉が開かれ、その力強さですべてのろうそくが消えた。そして、私くらいの背丈で、外套を着た見知らぬ男が入って来た - IA02278 (2021-12-07 評価=4.00)
驚く一同に、闖入者は「諸君は大金をまきあげた人間の本性をご存じない。男の左の袖のカフスの内側と、モーニングのポケットの包みを調べなさい」と言って出て行った - IA02279 (2021-12-07 評価=4.00)
何か考える暇もなく、私をたくさんの手がひっつかんだ。そして、袖の裏から重要な絵札と、ポケットから「アロンデ」というイカサマ細工のされた、カルタ札が多数発見された - IA02280 (2021-12-08 評価=4.00)
皆はただ黙って軽蔑の色を浮かべた。部屋の主人のプレストン君が「もう十分だ。君はオックスフォードを立ち去らねばならない。わかっているな」と言った - IA02281 (2021-12-08 評価=3.00)
そして、プレストン君は床から何か拾い上げた。それは私の高価で珍しい毛皮の外套の腕にかかっているものと、細かな点までそっくりで、私は恐怖に近い驚きを覚えた - IA02282 (2021-12-09 評価=3.00)
私と彼以外、外套を着た者はいなかったのだ。私はプレストンが差し出したものを受け取り、部屋を出た。そして、翌日の早朝オックスフォードから大陸のパリに旅立ったのだ - IA02283 (2021-12-09 評価=4.00)
何年経っても心は安まらない――ローマでも、ウィーンでも、ベルリンでも、モスクワでも、不可解な彼の暴虐から逃げ回った。彼は一体何者でその目的は？ 答は得られなかった - IA02284 (2021-12-10 評価=3.00)
ただ彼の邪魔の対象は、忌むべき害を生じたであろう私の計画や行為に限られていた。迫害者は私と同じ服装をする酔狂を続けながら、私に目鼻だちを見せないようにしていた - IA02285 (2021-12-10 評価=3.00)
彼は私のローマでの野心、パリでの復讐、ナポリの恋、エジプトでの貪欲などを妨害した。私の彼への深い畏怖の情から、彼に意気地なく屈し、厭々盲従してきたのだった - IA02286 (2021-12-11 評価=3.00)
しかし、最近私は酒びたりになり、自分を抑えきれなくなった。服従し奴隷扱いされない決心を固めた私は、ある年ナポリの公爵ディ・ブロリオ邸宅の仮面舞踏会に出席した - IA02287 (2021-12-11 評価=3.00)
人込みの中、私は年配のディ・ブロリオの若く美しい浮気な細君のところに行こうとしていた。その刹那、肩に誰かの手が触れ、忘れたことのない低いささやきが聞こえたのだ - IA02288 (2021-12-12 評価=3.00)
彼は予期したとおり、私と同じ深紅色の帯が付いた青いスペイン風外套をまとい、黒い仮面を付けていた。私は激怒して怒りの声を発し、隣の間に移動すると剣を抜けと命じた - IA02289 (2021-12-12 評価=4.00)
彼は少し躊躇したが、剣を抜き身がまえた。私は狂気のように剣をふるい、優勢に戦った。だが驚愕するような事態がまっていた…。最後の展開はタイプしてお楽しみください
