Ｇ警視総監からとある家に隠されている手紙を取り戻したいと相談を受けるデュパン。手紙は一体どこに？ 短編ながら完成度の高い本格推理小説
- IA02930 (2022-09-09 評価=4.00)
(デュパン)「単純な手段について総監は笑っていたが、大きい物体は小さい物体を動かすより困難だ。能力の高い知能は、劣等な知能より、動作に力があるものなのさ」 - IA02931 (2022-09-09 評価=5.00)
(デュパン)「例えば、地図上の地名を相手に捜させる字捜し遊びでは、細かい地名より、地図一杯にひろがる名の方が、明瞭すぎて発見されにくいのさ」 - IA02932 (2022-09-10 評価=5.00)
(デュパン)「Ｄ大臣の大胆さ、手近に置く必要性、捜索の失敗から、僕は彼が手紙を隠そうとしない方策をとったと考えた。総監は手紙が鼻先にあるなど考えもしなかったのさ」 - IA02933 (2022-09-10 評価=5.00)
(デュパン)「僕は緑の眼鏡をかけて弱視を装い、Ｄ大臣の屋敷を訪問した。彼と雑談をしながら、手紙などがのせてある乱雑に書机も気になったが、嫌疑をひきはしなかった」 - IA02934 (2022-09-12 評価=5.00)
(デュパン)「僕は、長いあいだ部屋を見まわして、暖炉のところにあるボール紙製の名刺差しに眼をつけた。中には数枚の名刺と、Ｄ大臣宛の汚れて少し裂けた手紙が入っていた」 - IA02935 (2022-09-12 評価=5.00)
(デュパン)「これだと思った。総監の説明とは署名が異なるのに大きさは同じ。手紙が汚れて破れているのも、大臣らしくない。わざとつまらない手紙だと思わせようとしている」 - IA02936 (2022-09-13 評価=5.00)
(デュパン)「それに人目につく置き場所は、私には嫌疑を濃くするものだった。私は訪問を長びかせて観察し、手紙の縁が必要以上にこすれていることに気付いた」 - IA02937 (2022-09-13 評価=5.00)
(デュパン)「折り返しを見ると封筒が裏返しにされ、宛名が書かれて封印しなおされた様子だった。僕は翌日忘れ物を取りに再訪して、外の騒ぎの間ににせ手紙とすりかえたのさ」 - IA02938 (2022-09-14 評価=5.00)
騒ぎは、むろんデュパンが雇った男が空砲を発射して起こしたものだった。私は、最初に訪ねたとき、公然と取り返すこともできたのでは？ と疑問を呈した - IA02939 (2022-09-14 評価=5.00)
(デュパン)大臣は剛胆だし、彼に身命をささげた従者もいる。生きて帰れない。それにこれまで彼は貴婦人を権力で従わせてきた。彼は気付くまで無理なことをするに違いない」 - IA02940 (2022-09-16 評価=5.00)
(デュパン)「彼は恐ろしき怪物、破廉恥な天才だが、政治的に破滅し没落するだろう。彼が僕のすり替えた手紙を見てどう思うか、僕は知りたくてたまらないね」 - IA02941 (2022-09-16 評価=5.00)
私が何を入れたのか尋ねると、彼は「僕は彼に怨みがあるので、偽って相手を誘い出す悲劇『アトレ』をもじって『お前は復讐される方がふさわしい』と書いておいたのさ」と答えた
