堀辰雄が芥川龍之介の自殺に衝撃を受けて執筆した出世作。20歳の河野扁理(へんり)は告別式で師の恋人に出会う。彼女およびその娘との繊細な心の交流を描く
- IA04052 (2024-03-23 評価=3.00)
夫人は少女の眼つきに驚きながら、自分が同じくらいの年齢であった時分、愛した人に向けた恐い眼つきを思い出した。娘は誰かを愛している、それはきっと扁理にちがいない… - IA04053 (2024-03-23 評価=4.00)
九鬼の死後、夫人の苦しみが絹子に影響を与えたように、夫人も娘の気持ちを感じた。「あの方に九鬼さんが憑いているなら大丈夫。かえってあの方は救われるわ」と夫人は言った - IA04054 (2024-03-24 評価=3.00)
母の言葉に、少女の眼差しが古画の聖母を見あげる幼児の眼差しに似てゆくように思われた。
「聖家族」堀辰雄 作 1932(昭和7)年