幕末のシャーロックホームズ、岡っ引き半七(はんしち)。江戸の町に発生する不思議な事件を次々と解決する。古さを感じさせない岡本綺堂の連作短編小説
- IA04745 (2025-07-13 評価=4.00)
■1 江戸末期に生まれた私の叔父は、妖怪話に詳しかったが、そういう話は滅多にしなかった。その叔父が一度「おふみの一件のように世の中には解らないことがある」と言ったことがある - IA04746 (2025-07-13 評価=3.00)
私は関係しているらしいKのおじさん(血のつながりはない)の所に行ったが「つまらない化け物の話なんぞすると、お父さん達に叱られる」と言われてしまい、それきり忘れていた - IA04747 (2025-07-14 評価=4.00)
二年程経って、11月末ころ、Kのおじさんに誘われ、夕飯の後に、武家屋敷の残る番町の家を訪ねた。彼も昔はそれなりの身分の人だったのだろうと思われた - IA04748 (2025-07-14 評価=4.00)
暗い雨の夜であった。おじさんは急に「お前が興味を持っていたおふみの話を聞かしてやろうか。化け物の話はこういう晩がいい」と言い出した - IA04749 (2025-07-15 評価=4.00)
私が目をかがやかせると、Kのおじさんは「怖くなって家へ帰れなくなったなんて言うなよ」と私をおどすと「元治元年、自分が二十歳の時だ」と話し始めた - IA04750 (2025-07-15 評価=4.00)
さて、松村彦太郎という外国掛の三百石の旗本がいた。その妹のお道は小幡伊織という旗本に嫁ぎ三才の子供をもうけていたが、突然兄を訪ね、仔細も言わず離婚したいと言い出した - IA04751 (2025-07-16 評価=4.00)
お道が仔細を言わないので、兄の松村もじれてきて、「仔細も聞かずに離婚を申し出て、先方が承知すると思うか」と声を荒げた - IA04752 (2025-07-16 評価=5.00)
兄は妹が若い侍とでも心得ちがいでもしでかしたのかと、厳しく問いただすと、彼女もようやく話し始めた。七日前、お道の枕元にびしょ濡れの女が現れ、手をつき無言でお辞儀したという - IA04753 (2025-07-16 評価=5.00)
その様子は物凄く、ぞっとして夢は覚めた。同時に添い寝をしていた子のお春も同じ夢を見たらしく「ふみが来た」と泣き出した。それが三日続き、お道は我慢できなくなったという - IA04754 (2025-07-16 評価=4.00)
お道は夫に訴えたが、夫は受け付けずに機嫌を悪くするだけで、彼女は困ってしまった。そこで娘を連れて化け物屋敷を逃げ出そうと考えたという。「あの屋敷にはいられません」とお道は言った - IA04755 (2025-07-17 評価=5.00)
兄は最初信じられなかったが、思い詰めている様子で可哀そうに思い、こみいった事情がひそんでいる可能性もあるので、小幡に会って事情を確かめようと思った - IA04756 (2025-07-17 評価=4.00)
■二 松村は小幡の屋敷に出向いた。幸い小幡伊織が居合わせて座敷に通されたが、なかなか幽霊の話を切り出すことができなかった - IA04757 (2025-07-19 評価=4.00)
きっかけをつかみ、ようやく松村がおふみの一件を話すと、「一応詮議してみましょう」と小幡は言った。だが、彼はこの屋敷に生まれて28年、そんな噂を誰からも聞いたことはないという - IA04758 (2025-07-19 評価=5.00)
そこで、小幡は屋敷じゅうの者を集めて確認しようという。松村も同意し、用人、若党、中間、女中共まで問いただしたが、そんな話を知る者はなかった - IA04759 (2025-07-22)
さらに古池を掻い掘りし、井戸をさらったが手掛かりは得られなかった。そこで、お道を屋敷に呼び戻し、お春と一緒に部屋に寝かす事にした。松村と小幡は隣の間に隠れた - IA04760 (2025-07-22)
幼いお春は寝つくとすぐ「ふみが来た」とうなった。松村と小幡が駆けつけたが、抱きあう母子を見て、その様子に顔を見合わせた。同時になぜお春がふみの名を知っていたのか疑問に思った - IA04761 (2025-07-24)
薄気味悪くなり、有名な占い者から木の根を掘れと言われたが、関係なかった。武家の妻が夜起きて昼寝ていると、不便であり世間体もあるので、なんとか幽霊を追いはらいたいと思った - IA04762 (2025-07-24)
少しずつ幽霊の噂がささやかれるようになると、噂を聞き付けたKのおじさんが押し掛けて来た。ふだん懇意にしていたので、小幡も秘密を打ち明け、真相を知りたいと相談した - IA04763 (2025-07-26)
Kのおじさんは長男でなかったので、時間に余裕もあり喜んで引き受けると、おふみという女に心当たりはないのか、と小幡に尋ねた。小幡はない、と答えた - IA04764 (2025-07-26)
だが、先代の奉公人にはいるかもしれない、という。そこで、Kのおじさんは、江戸の堺屋(職業斡旋所)を通じて雇っていた奉公人の中におふみがいないか調べることにした