| 忠五郎のはなし (小泉八雲作 田部隆次訳) 11分割 | 入力文の数= 11 |
夜な夜などこかへ出かける足軽の忠五郎。徐々に衰えていく彼の様子に心配した同僚に告白した驚くべき彼の行動とは……。小泉八雲の怪談作品集「骨董」から
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江戸小石川の鈴木という旗本の家来に忠五郎という足軽がいた。忠五郎は毎夜出かけて明け方まで帰らず、最近蒼白く衰えて来た。それを同僚に見とがめられた - IA04911 (2025-11-08) NEW
年取った侍が彼に『御身は悪友と交わって健康を害しているのではないか』と問うた。忠五郎は暫く黙っていたが、同僚と庭に出て、人に聞かれないように話し始めた - IA04912 (2025-11-08) NEW
『五ヶ月程前の事、川岸に立っていた立派な装いの婦人に袖を引かれ、「あの橋まで一緒に歩いて下さいませんか」と言われたのです - IA04913 (2025-11-09) NEW
女は綺麗で、にっこり笑うので私も一緒に歩きました。そして、これまで私の姿を度々見て好きになった、私を夫に持ちたい、と言うのです。女は川のふちで川の方へ私を誘いました - IA04914 (2025-11-09) NEW
私は言われるまま、女に水の中に引き込まれました。濡れもせず寒くもありません。乾いて綺麗な御殿らしい所を女と歩き、部屋を通りぬけ、千畳敷の広い客間に着きました - IA04915 (2025-11-11) NEW
女は私を上座に案内し「私と幸福に暮らせます」とにっこりしました。酒肴が運ばれてくると、女は「今晩婚礼の式を挙げましょう」と言い、宴会の後別の部屋に移動しました - IA04916 (2025-11-11) NEW
朝早く私は女に起こされ「あなたはもう私の夫です。理由があって結婚は秘密にしておかないと二人の生命が危うくなります。以後毎晩あの時刻、あの場所に来て下さい」と言いました - IA04917 (2025-11-12) NEW
屋敷に戻るとまだ朝の寺の鐘が鳴る前でした。それからは毎晩女の所に行きました。今晩も女は待っています。この事は誰にも言わないで下さい』と忠五郎は言った - IA04918 (2025-11-12) NEW
年寄りの足軽は『誰にも言わない。しかし、用心した方がいい。悪いものにばかされているかもしれない』と言った。忠五郎は女に会いに去ったが、数時間後落胆した顔で帰って来た - IA04919 (2025-11-13) NEW
忠五郎は『いませんでした。約束を破った私が愚かでした』と言って倒れ、全身ふるえ出した。翌朝漢方医が招かれて診察したが、身体の血管などに水ばかりしかない、と言う - IA04920 (2025-11-13) NEW
忠五郎は日暮れに死んだ。同僚が医者に女の話をすると……、
「忠五郎のはなし」小泉八雲作 田部隆次訳
小泉八雲短編集「骨董」より 明治35年(1902)


