風の強い二学期最初の日、田舎の小学校におかしな少年が転校してきた。伝説の風の神の子、又三郎か? 子供らの交流を幻想を混じえて描く児童文学の名作
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教室に入ると、佐太郎が妹かよの鉛筆を取り上げ、「俺のだ」と返そうとしません。かよはとり返そうとしたものの、泣きだしそうになりました - IA00861 (2020-06-13 評価=3.00)
かよが涙をこぼしたのを見て、三郎が自分の鉛筆を佐太郎に渡しました。佐太郎がかよに鉛筆を返したので、一郎は見ていて変な気持ちがしました - IA00862 (2020-06-13 評価=4.00)
先生は各学年の生徒たちに四年生までは算数、五年生には読本(教科書を読むこと)をして、わからない字を書き出すよう指示しました - IA00864 (2020-06-14 評価=4.00)
二時間目は全員で唱歌(合唱)しました。三時間目は五・六年生が数学だったので、三郎は雑記帳に小さな消し炭で運算(計算)していました - IA00865 (2020-06-14 評価=4.00)
■9月4日(日)■ 翌朝、一郎たち四人は下流で谷川を渡り、三郎のうちのほうへ上の野原に行く道をのぼって行きました - IA00866 (2020-06-14 評価=4.00)
約束のわき水の近くに来ると、三郎が待っていました。三人は汗をふきながら岩から噴きだす冷たい水をすくって飲みました - IA00867 (2020-06-15 評価=4.00)
歩いて行くと、上の野原の入り口に近くなりました。三郎が丘の向こうに見える川が春日明神の帯のようだ、と言いましたが、みんなは意味がよくわかりませんでした - IA00868 (2020-06-15 評価=4.00)
上の野原の入り口に来ると、一郎が先に立って二匹の馬がいる所まで歩いていきました。一郎が呼びかけると、一郎のにいさんが草の中から笑って出て来ました - IA00869 (2020-06-15 評価=3.00)
兄さんは馬が放牧されているから、遊ぶなら土手から出ないように、と言って戻りました。しかし、土手の所にくると嘉助が丸太の棒をおろして、中に入ってしまいました - IA00870 (2020-06-15 評価=4.00)
小高い所に七匹ほど競走馬になる馬がいて、一郎たちに寄ってきて塩(汗)をなめてきました。三郎は怖くない、と言いながらも慣れていないので顔色を変えました - IA00871 (2020-06-16 評価=4.00)
三郎が「みんなで競馬をやろう」と言い出し、みんなで馬を決めて追い、大きな木の所に先に着いた馬を一等にすることにしました。そして楊の枝や萱の穂で馬を軽く打ちました - IA00872 (2020-06-16 評価=4.00)
一郎が両手をぴしゃんと打ち合わせてかけ声をかけると、七匹はかけ出しました。五人が馬を追って走って行くと、いつのまにか入ってきた土手の切れた所に戻っていました - IA00873 (2020-06-16 評価=4.00)
一郎がまっ青になって、走って手を広げましたが、二匹が柵の外に出てしまいました。うち一匹は一郎がなんとかくつわを押さえましたが、一匹は南に走って行ってしまいました - IA00874 (2020-06-16 評価=5.00)
「兄さん、馬が逃げる」と一郎が叫びました。嘉助は足がしびれて倒れてしまいましたが、その時馬のあとを追う三郎の白い帽子がちらっと見えました - IA00875 (2020-06-17 評価=3.00)
しばらくして嘉助は起き上がり、三郎の通ったらしいかすかな道を歩いて行きましたが、わからなくなりました。そのうち空が暗くなり、冷たい風が吹いて来ました - IA00876 (2020-06-17 評価=4.00)
かすかな道は草の中でなくなってしまいました。嘉助は一郎を力いっぱい呼びましたが返事はなく、暗い冷たい霧に取り囲まれて周囲は陰気になってきました - IA00877 (2020-06-17 評価=4.00)
嘉助は引っ返しましたが、道が違っていたようで、大きな谷が現れました。また引っ返すと、馬のひずめ跡でできた小さな黒い道に出たので、ほっとしてその道を歩きました - IA00878 (2020-06-17 評価=4.00)
黒い道は大きな栗の木の前で幾つにも別れ、野馬の集まり場所のようでした。嘉助はまた戻りはじめましたが、時折、草穂がゆらぎ、大きな黒い岩は家にも見えました