突然沼津の富豪に呼び出された女流探偵桜井洋子。だが富豪は彼女の到着直前に殺害された。意表をつくストーリーが展開する女流ミステリー作品
- IA02003 (2021-07-21 評価=4.66)
■嫉妬 洋子は願いを拒むわけにもいかず、了解すると、尾越は「先生、ある男のため、偽りのない事実をお話しします」と嬉しそうに話し始めた - IA02004 (2021-07-22 評価=4.33)
尾越は「聞いていただきたいのは発狂し、自殺した死刑囚から聞いた気の毒な物語です。その男、譲治は米国生まれで両親と死別し、宣教師に拾われて東京に来ました」と語った - IA02005 (2021-07-22 評価=4.66)
「(続き)そのうち宣教師が亡くなり、彼は莫大な遺産を受け継ぎました。友人の上級生が一人で住むよりは、と未亡人を紹介し家族同様にその家に住む事になりました」 - IA02006 (2021-07-23 評価=4.33)
「(続き)その後、譲治は未亡人の娘の冬子に恋をし、親友の反対にもかかわらず結婚したのです。翌年には女児も生まれましたが、親友はその家庭に入り浸りました」 - IA02007 (2021-07-23 評価=4.66)
「(続き)なぜか親友を好まなかった冬子には、若い船員の仙ちゃんという仲が良い従兄弟がいました。親友が譲治に二人はあやしいと警告したので、譲治も不安になりました」 - IA02008 (2021-07-24 評価=4.66)
「(続き)半信半疑の譲治に親友は証拠を見せようと、ある日クラス会に出席していた親友は譲治を連れて家に戻りました。すると、奥のはなれから楽しそうな笑い声が聞こえます」 - IA02009 (2021-07-24 評価=4.66)
「(続き)隣の間の戸棚にかくれて様子を見ると、女の子を膝に抱いた仙ちゃんが冬子に三味線を弾かせ、鳥羽の恋塚を唄わせようとしています。譲治は三味線が嫌いでした」 - IA02010 (2021-07-25 評価=4.66)
「(続き)冬子が三味線を弾きながら唄うと、仙ちゃんは『明日航海に出るから、冬ちゃんの唄を吹きこんでもらおうと思ってレコードを持ってきた』と録音盤を出しました」 - IA02011 (2021-07-25 評価=4.66)
「(続き)仙ちゃんと冬子の手が触れたりしているようで、彼はじっとしていられなくなりました。子供が隣の部屋に行き二人だけになると、親友はソラ見ろなどと言いました」 - IA02012 (2021-07-26 評価=4.66)
「(続き)仙ちゃんの手が妻の肩へかかると譲治は血が頭に昇り、戸棚を出て飛びかかりました。すると電灯がパッと消え、彼はいつの間にか刃物を握っていたのです」 - IA02013 (2021-07-26 評価=4.66)
「(続き)譲治は気狂いのように暴れました。その後、彼は入って来た警官に捕らえられましたが、仙ちゃんと冬子は息が絶えていました。女の子は逃げて助かりました」 - IA02014 (2021-07-29 評価=4.66)
■レコード 「(続き)短刀は自分のものでしたが、誰が渡したのか分かりません。現場から親友は逃げたものの、その後弁護士の世話や子供の引き取りなど、彼に尽くしました」 - IA02015 (2021-07-29 評価=4.66)
「(続き)譲治は全財産の監理から女の子の将来まで一任しました。しかし人を刺した記憶がない事、妻が「あなた、武さんを押さえて」と言った言葉が気にかかり始めました - IA02016 (2021-07-30 評価=4.66)
「(続き)譲治は、親友が親切なので恨む気になれなかったが、冬子の母親がかつて親友が冬子に求婚した事があった、と話していた事を思いだし、唇を噛みました」 - IA02017 (2021-07-30 評価=4.66)
「(続き)彼は愛妻が殺され、財産を奪われ、自分も死刑になる事で、発狂して自殺したのです。貴方には娘のため無罪の証明をしたいという、彼の願いを果たして頂きたいのです」 - IA02018 (2021-07-31 評価=4.66)
「(続き)実は証拠のレコードを、私の仲間が沼津の有松武雄の屋敷から偶然盗んだのです。今回、有松を殺害したのは私ですが、以前私は彼に自首しろと勧めた事があるのです」 - IA02019 (2021-07-31 評価=4.33)
「(続き)彼も自首を誓いましたが、おそらく私が刑務所に入ったせいで、自首しませんでした。今回、私の脱獄を知って脅え、あわてて先生に電話したのでしょう」 - IA02020 (2021-08-01 評価=4.66)
「(続き)列車から飛び降りたのは、停車を長引かせたかったからです」そして尾越は懐中からあるものを取り出した… (略)