ゴーシュは町の映画館の楽団のチェロ奏者。いつも楽長に怒られてばかりいる彼のもとに、様々な動物が訪れる…。宮沢賢治の心温まる傑作童話
- IA02367 (2022-01-10 評価=3.75)
ゴーシュは町の映画館で働くセロ(チェロ)奏者。楽長(指揮者)によく怒られます。この日も音楽会のため第六交響曲を練習中、「セロがおくれた」と楽長にどなられました - IA02368 (2022-01-11 評価=3.60)
やり直しても、また楽長が「セロの糸が合わない」と怒るのです。ゴーシュは糸を直しましたが、楽器自体にも問題があるようでした。再開すると、また楽長が手をうちました - IA02369 (2022-01-12 評価=3.40)
怒られたのは他の人でしたが、すぐまた楽長がどなり出し「十日後の演奏会で、プロがアマチュアに負けたら面目はどうなる。ゴーシュ君、君は表情ができていない」と言いました - IA02370 (2022-01-12 評価=3.75)
「それに外の楽器と合わない。わが金星音楽団が君のため悪評をとらないよう、しっかりしてくれ」と楽長は言い、解散になりました。ゴーシュは涙をこぼして、一人練習しました - IA02371 (2022-01-13 評価=3.50)
ゴーシュはセロを持って、町はずれの水車小屋の家に帰りました。ゴーシュは水を飲んで椅子へかけると、虎のような勢いで楽譜をなんべんも弾きつづけました - IA02372 (2022-01-13 評価=3.75)
夜中もすぎると、ゴーシュは倒れそうでした。そのとき三毛猫がゴーシュの畑のトマトを重そうに持ってはいって来ました。「おみやです」と言ったので、ゴーシュはどなりました - IA02373 (2022-01-14 評価=3.33)
「それはおれの畑のトマトだ。帰れ、ねこめ」とゴーシュはどなりました。しかし、ねこは「怒らないでシューマンのトロメライを弾いて下さい」と言いました - IA02374 (2022-01-14 評価=3.00)
ゴーシュは「生意気だ」とどなって窓を閉め、扉に鍵をかけました。猫はシューマン作曲のトロメライを希望したのですが、ゴーシュは耳栓をして「印度の虎狩り」を弾き始めました - IA02375 (2022-01-15 評価=3.00)
猫は逃げようとしましたが、扉はあきません。猫は眼や額から火花を出し、小走りに歩きながら謝りました。しかしゴーシュは容赦せず弾きつづけたので、猫は苦しがりました - IA02376 (2022-01-15 評価=3.00)
ゴーシュが疲れてやめると、猫はけろりと「こんどの演奏は?」と聞いてきます。気にさわったゴーシュはマッチを一本出し、猫に舌を出させてこすったので、猫は転げ回りました - IA02377 (2022-01-16 評価=3.00)
ゴーシュが扉をあけると猫は風のように走り去りました。次の晩、帰ってきたゴーシュがセロを弾き始めると、屋根裏を叩く音に続き、天井の穴から灰いろの鳥が降りてきました - IA02378 (2022-01-16 評価=3.33)
降りてきたかっこうが「音楽を教わりたいのです」と言いました。ゴーシュが「かっこうと歌うだけじゃないか」と笑うと「みな違うかっこうを歌うので難しいんです」と言いました - IA02379 (2022-01-18 評価=3.00)
かっこうは「私はドレミファを正確にやりたいんです」と言いました。ゴーシュが文句を言いながらドレミファソラシドをひくと、かっこうは違うと言い「かっこう」となきました - IA02380 (2022-01-18 評価=3.00)
ゴーシュが「ドレミファも交響楽も同じじゃないか」と言うと、かっこうは否定して、「かっこう」と叫び続けました。ゴーシュも合わせてセロを弾いたものの、疲れてやめました - IA02381 (2022-01-20 評価=3.00)
ゴーシュが帰れと怒っても、かっこうは「もういっぺん」と頭を何べんも下げました。ゴーシュがにが笑いしながら弾き始めると、かっこうは「かっこう」と一生けん命叫びました - IA02382 (2022-01-20 評価=3.33)
ゴーシュは、いつか鳥の方がいい音を出しているような気がして、セロを弾くのをやめました。かっこうは恨めしそうに「ぼくらはのどから血が出るまで叫ぶんです」と言いました - IA02383 (2022-01-21 評価=3.00)
「もう出て行け」とゴーシュが怒ると、かっこうは窓めがけて飛び立ちましたが、硝子に頭をぶつけて下に落ちました。ゴーシュは窓をあけようとしましたが、すぐには開きません - IA02384 (2022-01-21 評価=3.33)
かっこうは何度も飛び立とうとして、ぶつかって落ちました。しばらく動かなかったかっこうが急に目をひらいて飛つこうとしたので、ゴーシュは足を上げて窓をけりました - IA02385 (2022-01-22 評価=3.66)
窓はわくのまま外へ落ち、かっこうは矢のように飛びだし、見えなくなってしまいました。次の晩、待ちかまえていると、扉がすこしあいて、一匹の狸の子がはいってきました - IA02386 (2022-01-22 評価=3.50)
ゴーシュは「狸を野菜と煮た狸汁を知ってるか」とおどかしました。狸の子が「お父さんはゴーシュさんはいい人だって言ってたのに」とふしぎがったのでゴーシュは笑い出しました