芥川龍之介が死の直前に人生を振り返りつづった作品。やや難解ですが、生活や女性について本音が吐露されており、タイプして深読みしたい作品です
- IA02403 (2022-01-23 評価=3.00)
芥川龍之介が友人、久米正雄に本作品の発表などを依頼する手紙の本文。龍之介はこの文を書いた1ヵ月後(7月24日)に自殺し、本作品は遺稿となりました - IA02404 (2022-01-24 評価=3.00)
■1 時代■ ある本屋の二階、二十歳の彼(芥川龍之介)は、はしごに上って新しい本を探していた。彼は「人生は一行のボードレールにも値しない」と言う客や店員を見下ろしていた - IA02405 (2022-01-25 評価=3.00)
■2 母■ 鼠色の着物を着てオルガンを弾いたり踊ったりしている狂人たちに、彼は十年前の母と同様の臭気を感じた。医者は彼をアルコール漬けの脳髄がある部屋に案内した。 - IA02406 (2022-01-26 評価=3.00)
窓の外には、逃亡を防ぐためのレンガ塀があった。■3 家■ 彼は六十近い独身の叔母に愛を感じていたが、寝起きしていた郊外の傾いた二階の部屋で、彼女とたびたび喧嘩した - IA02407 (2022-01-27 評価=3.00)
■4東京■ 彼は隅田川の蒸汽船から向島の桜を眺めながら、憂鬱だった。■5我■ カフェに一緒に行った先輩の言葉に、彼は彼の知らない我の世界へ解放し、痛みと歓びを感じた - IA02408 (2022-01-28 評価=3.00)
■6病■ 彼は英語の辞書の上に痰を落とした―、しかしそれは痰ではなく、長く生きられないと思った。■7画■ 彼はゴオグ(ゴッホ)の画集を見て絵画が理解でき、自然を感じた - IA02409 (2022-01-30 評価=3.00)
この画への情熱は彼の視野を新たにした。彼は土手の下の荷馬車のある風景をゴッホが見つめているような気がした。■8 火花■ 雨の日、電柱の架線が紫色の火花を発していた - IA02410 (2022-01-30 評価=3.00)
彼は紫色の火花を命と交換しても捕まえたいと思った。■9 死体■ 彼の友だちはメスで、不快な臭気を発する死体の顔の皮を剥ぎ「死体に不足すれば、人殺しをするさ」と言った - IA02411 (2022-01-31 評価=3.00)
■10先生■ 彼は先生の本に、平衡を保っている天秤の様な光景を感じた。■11夜明け■ 二十五歳の彼は夜明けの市場の中で、黒犬に吠えかかられた。先生に会った三月目だった - IA02412 (2022-01-31 評価=3.00)
■12軍港■ 彼は潜航艇のうす暗い内部から目がねを覗き、軍港の軍艦『金剛』を見た。■13先生の死■ 彼は駅で「センセイキトク」の電報をポケットに、歓びに近い苦しみを感じた - IA02413 (2022-02-02 評価=3.00)
■14結婚 15彼等 16枕 17蝶■ 彼は結婚翌日に妻に無駄遣いをしないよう小言を言った。彼等は海岸の町で平和に生活した。彼は懐疑主義を枕にし、風の中に蝶がひらめいていた - IA02414 (2022-02-02 評価=3.00)
■18月■ 彼はホテルで彼女に遭遇し、見送りながら寂しさを感じた…。■19人工の翼■ 彼の哲学はアナトオル・フランスに始まり、ヴォルテールによって人工の翼を得た - IA02415 (2022-02-03 評価=3.00)
だが舞い上がった彼は人生の歓びや悲しみが目の下に沈み、太陽へ登って行った。ギリシャ神話のイカロスのように。■20 械(かせ)■ 入社した新聞社は彼ばかりに義務を負わせた - IA02416 (2022-02-03 評価=3.00)
■21 狂人の娘■ 彼が乗る人力車は田舎道を海に向かい、前の人力車にはある狂人の娘が乗っていた。彼はその娘に憎悪を感じ、彼女の心をとらえていない彼女の夫を軽蔑し出した - IA02417 (2022-02-04 評価=3.00)
■22 ある画家■ 雑誌の雄鶏の挿絵に感銘を受けた彼は、一生のうちでも特に著しい事件となるその画家の訪問を得た。ある秋の日、彼はとうもろこしを見てこの画家を思い出した - IA02418 (2022-02-04 評価=4.00)
■23 彼女■ 大きな広場で彼は彼女と会い、肩を並べて歩き、彼等の自動車に乗った。彼は彼女の問いに「後悔しない」と答えたが。彼女は「私は後悔しないけれども」と言った… - IA02419 (2022-02-05 評価=3.00)
■24出産■ 彼はその妻が最初に出産した男の子に、何の為に生まれたのだろう、と思った。■25ストリントベリイ■ストリンドベリも、恋人に送る手紙の中に嘘を書いている - IA02420 (2022-02-05 評価=3.00)
■26古代■ 仏たちや蓮の華は彼を圧倒し、狂人の娘の手を脱した幸運を忘れさせた。■27スパルタ式訓練■ 友と歩行中人力車に乗った彼女が来て、友が彼女を美人とほめ彼も同意した - IA02421 (2022-02-06 評価=2.00)
■28殺人 29形 30雨■ 彼は田舎道で「殺せ」と口走り、卑屈らしい五分刈りの男を思い出していた。鉄の銚子は彼に形の美を教えた。 - IA02422 (2022-02-06 評価=5.00)
彼はベッドで彼女を愛しているか考えた。■31 大地震■ 杏の匂いに近い炎天の死骸の匂いの中で、彼を動かしたのは酸鼻の池の子供の死骸だった。彼は焼け跡にたたずんだ