入力文リスト
<
ダス・ゲマイネ (太宰治) 54分割入力文の数= 54 <<   1  2  3   >>

留年して卒業が伸びた大学生佐野次郎。癖のある友人馬場らと雑誌「海賊」刊行を計画する。昭和初期の学生達の情熱と葛藤を描く太宰治初期の異色作

作家や目的で選ぶ

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    398
    IA03226 (2023-02-01 評価=4.00)

    ■二 ナポリを見てから死ね! 私達はプランを語り合った。フランス等にはむかしの若き芸術家たちが世界に呼びかけた機関雑誌が数多くある。「海賊」を季刊誌にすることにした
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    417
    IA03227 (2023-02-01 評価=5.00)

    天才画家の挿画つきの上質の紙を使った大判の本。ユニフォームを新調し仲間の条件も決める。異国へ我らの芸術を我らの手で知らせたい。その日、馬場は甘酒屋で待っていた

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    443
    IA03228 (2023-02-02 評価=4.00)

    馬場の足もとに菊ちゃんがうずくまっていたが、私の顔を見ると、表情をかえて奥へ駈けこんでしまった。馬場がうす笑いをした
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    445
    IA03229 (2023-02-02 評価=5.00)

    馬場は「菊ちゃんに、じっと見てると僕の不精ひげが伸びるところが肉眼でも判るよ、と教えたら僕の顔を見つめていたんだ。無知なのか利発なのか、小説にでも書くかな」と言う

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    383
    IA03230 (2023-02-03 評価=4.00)

    私が、面白そうだと言うと、馬場はいつもの不機嫌そうな表情を取り戻し、怪談の話を始めた。「君は怪談を好むだろう、原稿用紙に一字も書けないという怪談はどうだ」
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    397
    IA03231 (2023-02-03 評価=4.00)

    「その人は世界中の小説が退屈になるようなおそろしい小説を企てるが、その人はみるみる痩せて、発狂するか自殺するか言葉を発することができなくなってしまうのだ」と馬場

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    433
    IA03232 (2023-02-04 評価=4.00)

    そこに学生服を着た若い男がやってきた。馬場は私に、彼がれいの絵描きの佐竹六郎だと紹介した。佐竹は顔がきめ細かく鼻筋も通っているが、背が低く四肢の貧しい男だった
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    417
    IA03233 (2023-02-04 評価=4.00)

    「あんたのことを馬場から聞きましたよ。ひどいめに遭いましたねえ」と佐竹が言い、私はむっとした。馬場も舌打ちし「からかうな。語尾にねえ、とか、よ、をつけるな」と言った

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    422
    IA03234 (2023-02-06 評価=4.00)

    馬場は「おめえとはここで口論したくない」と言った。何か仔細があるようだった。佐竹は「新響のオーケストラを聞きに行くから」と言って帰った
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    436
    IA03235 (2023-02-06 評価=3.00)

    馬場は佐竹について、つまらん奴を仲間に入れた、血のつながりがない親戚だが、彼の自尊心の高さにはぞっとする、とため息をもらした。が、画だけは正当に認めると言った

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    451
    IA03236 (2023-02-07 評価=3.00)

    五六日して、上野動物園にバクを見に行くと、スケッチブックに何やら描いている佐竹がいた。声をかけると、話したいことがあるという
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    421
    IA03237 (2023-02-07 評価=5.00)

    「僕のスケッチは一枚20円位で売れるのです。嘘は嫌いです。滝廉太郎という匿名で作曲した荒城の月を、山田耕作に売ったという馬場のでたらめ話は有名ですがね」と佐竹は言う

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    331
    IA03238 (2023-02-08 評価=4.00)

    私が「シゲティの話は聞いた」というと、佐竹はスケッチブックを閉じて歩き出し、陰気くさい低声で話し始めた
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    302
    IA03239 (2023-02-08 評価=4.00)

    「馬場は全然だめです。馬場の家は彼に泣かされているし、小説家の勉強をした時も本の読みすぎで書けなくなった、とばかばかしい話をしていた」と佐竹は馬場をこき下ろした

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    303
    IA03240 (2023-02-09 評価=4.00)

    「馬場みたいにでたらめな饒舌家が、雑誌を出すなんて浮いた気持ちになれるのがおかしいじゃないですか」と佐竹は続けた
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    302
    IA03241 (2023-02-09 評価=5.00)

    佐竹は「信じ過ぎるとたいへんな事になりますよ」と警告した。私が信じている、と答えると彼は「明後日、馬場と太宰治の三人であなたの下宿を訪ねる予定なんです」と言い始めた

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    336
    IA03242 (2023-02-10 評価=4.00)

    「雑誌の最後的プランを決める際、つまらなそうな顔をして水をさしてやろうじゃありませんか」と佐竹は山猫の檻の前で言い終えた
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    437
    IA03243 (2023-02-10 評価=4.00)

    ■三 登竜門 私が階下へ行っている間に、馬場と太宰は雑誌について、激しく言い合っていた

  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    398
    IA03244 (2023-02-11 評価=4.00)

    その朝、私がまだ寝ているうちに馬場がやって来た。馬場は先輩からの紹介で、小説がたいそう上手だという太宰治という男に逢った話をした。恐ろしくいやな奴だったという
  • フィクション
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    433
    IA03245 (2023-02-11 評価=3.00)

    馬場「太宰治は頭は丸坊主、蒼黒く大きい油顔、眉毛は短くまっ黒で、額にはしわが二筋。身長五尺七寸(172cm)、体重十五貫(56kg)、足十一文(26cm)、年齢三十前」