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聖家族 (堀辰雄) 43分割入力文の数= 43 <<  1  2  3   >>

堀辰雄が芥川龍之介の自殺に衝撃を受けて執筆した出世作。20歳の河野扁理(へんり)は告別式で師の恋人に出会う。彼女およびその娘との繊細な心の交流を描く

作家や目的で選ぶ

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    380
    IA04012 (2024-03-01 評価=3.12)

    死があたかも一つの季節を開いたかのようだった。告別式の会場への道は混雑し、群集が自動車を取り囲んでいた。その中に貴婦人らしい女性の乗った車もあった
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    300
    IA04013 (2024-03-01 評価=4.00)

    それは細木という未亡人で、夫人はあまりの混雑に自分から車を降りた。ほとんど同時に、毛髪がくしゃくしゃの一人の青年が彼女に近寄って腕をつかまえた

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    338
    IA04014 (2024-03-02 評価=3.00)

    群集の外に出ると、夫人は青年に礼を言った。青年は「河野(こうの)です」と挨拶したが、夫人は青年を思い出せない様子だった
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    322
    IA04015 (2024-03-02 評価=4.00)

    夫人が、少し気分が悪いので休むところはないかと尋ねたので、青年が近くのカッフェを探し中に入った。夫人の顔色がよくなったのを見て、青年は用事があると言って出ていった

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    325
    IA04016 (2024-03-03 評価=3.00)

    細木夫人は告別式が騒ぎになっていることが残念だった。そして数年前、軽井沢で偶然九鬼に出会った時、彼が連れていた15歳くらいの少年が彼にちがいないと思い出した
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    403
    IA04017 (2024-03-03 評価=4.00)

    (実際、扁理はその少年だった)その時、彼女は九鬼に「あなたのお子さん?」と意地悪な冗談を言った。扁理が、九鬼は夫人を好きたったのではないか、と気付いたのは後のことだ

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    312
    IA04018 (2024-03-04 評価=4.00)

    扁理はその時、夫人の泊まるホテルの部屋を見上げ、神聖な場所のように感じていた。今年20歳になった彼は、自動車の夫人に気付いた時、夢のように感じたのだった
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    370
    IA04019 (2024-03-04 評価=4.00)

    扁理はカッフェに戻ると、告別式が大変な混雑だったと夫人に告げた。夫人は出席しないで帰ると言い、宅へも遊びにいらして下さいませ、と小さな名刺を彼に渡した

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    359
    IA04020 (2024-03-05 評価=5.00)

    扁理はポケットにあった九鬼の名刺に「河野扁理」と不恰好に書きこみ、夫人に渡した。夫人は彼を九鬼を裏がえしにしたような青年だ、と思った。二人は急速に理解し合った
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    406
    IA04021 (2024-03-05 評価=4.00)

    ■※ 扁理は容貌は九鬼ににていないものの、九鬼は彼を好きだったらしい。扁理は九鬼と同じように、気弱さを表面に持ち出そうとするなど、精神的な類似点があった

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    396
    IA04022 (2024-03-06 評価=5.00)

    その後、扁理は遺族の依頼で彼の蔵書の整理をした時、洋書の中に女の筆跡で「どちらが相手をより多く苦しますことが出来るか試してみましょう」と書かれた手紙を見つけた
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    434
    IA04023 (2024-03-06 評価=5.00)

    さらに裏に細木と記名のある美しい封筒を発見した。その筆跡は洋書の古手紙を思い出させた。彼は老人のように、すべて知っているぞといった風に微笑した

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    429
    IA04024 (2024-03-07 評価=4.00)

    古手紙を発見した後、扁理は、質素だが一等船室を思わせる細木夫人の部屋を訪問した。故人の思い出を語りながら、彼は九鬼同様、彼女も九鬼を愛していたに違いない、と思った
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    441
    IA04025 (2024-03-07 評価=3.00)

    17~18歳の夫人の娘、絹子が客間に入って来た。絹子が母に似ていないことが扁理には残念だったが、その気持ちが伝わったのか、彼女は会話に入って来なかった

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    441
    IA04026 (2024-03-08 評価=4.00)

    夫人は、娘の絹子が古本屋で九鬼の蔵書印のあるラファエロの画集を見つけ、欲しがった話をした。扁理が、それは自分の売ったものかもしれない、と告白すると二人は驚いた
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    316
    IA04027 (2024-03-08 評価=5.00)

    ■※ 以後、細木家は扁理の生活に入ってきた。ある日扁理は九鬼に本の画について質問される夢を見た。「ラファエロの聖家族」の掲載されたその本は、彼が売った画集のように思われた

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    357
    IA04028 (2024-03-09 評価=5.00)

    夢の中の「聖家族」の画の聖母と幼児は細木夫人と絹子の顔に似ていた。目が覚めると枕もとに、為替同封の上「ラファエロの画集を買い戻しなさい」と書かれた細木夫人からの手紙があった
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    361
    IA04029 (2024-03-09 評価=5.00)

    その日の午後、扁理は買い戻した画集をかかえて細木家を訪れた。画集をめくった夫人はたばこのにおいがする、と言って蒼い顔をした。扁理は九鬼がたばこ好きだったことを思い出した

  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    413
    IA04030 (2024-03-10 評価=3.00)

    扁理は庭に出た絹子に呼ばれて庭に出ると、絹子は「野バラがあるから踏むと危のうございますわ」と言った。だが、扁理は葉だけでは野バラを見わけられなかった
  • 青春・恋愛
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    410
    IA04031 (2024-03-10 評価=4.00)

    絹子は母が九鬼の死によって悲しそうにしている様子で、母の女らしい感情が彼女の中にまだ眠っていたことに気付いた。そして母の眼を通して扁理を見つめ始めた