ケーベル先生 (夏目漱石) 9分割 | 入力文の数= 9 |
漱石が大学院時代に教わった外国人教授フォン・ケーベル。多くの学生から尊敬されるちょっとユニークな先生を、漱石は友人とともに訪ねました
- IA04098 (2024-05-24 評価=3.00)
自分は安倍君と共に、ケーベル先生の家に向かった。先生の家は新しい家にまじって古ぼけたまま残っており、その高い窓に先生の頭が見えた。自分たちは二階の書斎に入った - IA04099 (2024-05-24 評価=3.00)
先生は63歳だという。先生の美学の講義を聴いたのは自分が大学院に入った年で、来日してたぶん初めての講義だった。日本へ来てもう18年、髪もひげも薄い麻のような色のまま変わらない - IA04100 (2024-05-25 評価=4.00)
先生の書斎の書籍には見た目の派手なものはなく、椅子が四脚、マッチ、エジプト煙草と灰皿があった。自分は煙草を吸いながら先生と話をした - IA04101 (2024-05-25 評価=4.00)
儀式ばらぬ服装でと言われていたが、自分は失礼に当たらない程度の服装を着用したつもりが、先生より正装になってしまい恐縮した。先生に一人で淋しくないか尋ねてみると、ないという - IA04102 (2024-05-26 評価=3.00)
先生は故郷を慕う様子もなく、日本を嫌う様子もない。安っぽい新時代が浮き上がるありさまを眼前に目撃しながら、影響されることもなく、わが国で落ちついた18年を過ごされた - IA04103 (2024-05-26 評価=4.00)
先生は昔烏を飼っておられた。餌をやって放し飼いにしたのである。また、先生はポー(推理・ホラー小説)もホフマン(幻想文学)も好きだという - IA04105 (2024-05-27 評価=4.00)
先生は飲料のうちでコーヒーが一番好きだそうだ。また、先生はピアニストとして、華やかな演奏会を何度も行ったが、最近は時々一人楽器の前に座るだけだそうだ - IA04106 (2024-05-28 評価=3.00)
文科大学で人格の高い教授は誰か尋ねたら、9割の学生がフォン・ケーベルと答えるだろう。先生はそれほど学生から尊敬を受けており、18年も哲学の講義を続けている