「河童(かっぱ)」は、若い男が摩訶不思議な河童の世界に入り込む冒険譚。的確な人間観察をベースに社会を鋭く風刺する、芥川龍之介渾身の代表作です
- IT00070 (2017-09-30 評価=4.40)
■序■ 芥川龍之介の代表作「河童(どうか Kappa と発音してください)」序では、精神病院の患者の男が、摩訶不思議な河童の超常世界について語り始めます - IT00071 (2017-09-30 評価=4.50)
■一■ 三年前の夏のこと、僕はリュック・サックを背負い、上高地の温泉宿から穂高山へ登ろうとしました。しかし、穂高山へ登る道は濃い霧に覆われていました - IT00073 (2017-10-07 評価=5.00)
僕は水ぎわの岩に腰かけ、食事にとりかかりました。すると、僕の後ろにある岩の上で画にあるとおりの河童が一匹、珍しそうに僕を見おろしているのに気付きました - IA00608 (2020-01-28 評価=4.00)
河童が熊笹の中へもんどりを打つように飛び込んだので、僕は追いすがりました。しかし、穴でもあいていたのか、僕は深い闇の中へ転げ落ちました - IA00609 (2020-01-28 評価=4.00)
■二■ 気がついてみると、僕は大勢の河童に取り囲まれており、鼻めがねをかけた河童の医者が聴診器を当てていました。僕は担架に乗せられ、医者の家にかつぎこまれました - IA00610 (2020-01-28 評価=5.00)
河童は我々人間が河童のことを知っているよりも人間のことを知っています。ある人間の道路工夫は偶然この国へ来て雌の河童を妻にめとり、死ぬまで住んでいたそうです - IA00611 (2020-01-28 評価=4.00)
僕は「特別保護住民」として医者のチャックの隣に住むことになり、いつも日暮れがたになると、チャックやバッグを迎え、河童の言葉を習いました - IA00612 (2020-01-29 評価=5.00)
ある日の暮れ、バッグが黙っていきなり立ち上がると、べろりと舌を出して蛙の跳ねるような気色を示しました。無気味に思い心配になりましたが、ただの悪戯でした - IA00613 (2020-01-29 評価=4.00)
■三■ 河童は頭に短い毛と楕円形の皿があり、手足に水かきがあります。身長は一メートルくらいで体重は二十から三十ポンド。皮膚の色はカメレオンのように変わります - IA00614 (2020-01-29 評価=5.00)
この地下の国の温度は比較的低いのにもかかわらず、河童は着物を知らずにいます。また、カンガルーのような袋を腹に持っています - IA00615 (2020-01-29 評価=5.00)
■四■ 一番不思議だったのは、河童は我々人間の真面目に思うことをおかしがり、我々人間のおかしがることを真面目に思う、とんちんかんな習慣です - IA00616 (2020-01-30 評価=5.00)
河童のお産は人間と同じですが、父親は生まれる前の腹の子供に、生まれたいかどうか尋ねます。生まれたくないと答えた子供は中絶されてしまいます - IA00618 (2020-01-30 評価=4.00)
僕が人間世界では悪遺伝の撲滅など行われないことを話すと、ラップは「良家の令嬢が運転手に惚れたりするのは、無意識的に悪遺伝を撲滅しているのだ」と反論するのです - IA00619 (2020-01-30 評価=4.00)
■五■ トックという詩人の河童は、「当たり前の河童の生活など莫迦げている、ことに家族制度は莫迦げている」と主張します - IA00620 (2020-01-31 評価=4.00)
トックは自分を超人(直訳では超河童)だという考えを持っており、芸術家たるものは、善悪を絶した超人でなければならぬと言います - IA00621 (2020-01-31 評価=4.00)
トックは自分を超人的恋愛家だと考えていますが、平和な家庭の団らんの様子を見ると、うらやましさを感じるとも言っています - IA00622 (2020-01-31 評価=5.00)
■六■ 河童の恋愛は人間とは趣が異なり、正直な雌の河童は遮二無二雄を追いかけます。例えば、ラップという学生は追いかけられて何週間も僕の家に逃げこんでいました - IA00623 (2020-01-31 評価=4.00)
逆に雌の河童が雄に仕向けて、追いかけさせる事もあります。小さな雄の河童に追われている雌が別の大きな雄の河童に助けを求め、小さな河童が殺される様子も見かけました