「河童(かっぱ)」は、若い男が摩訶不思議な河童の世界に入り込む冒険譚。的確な人間観察をベースに社会を鋭く風刺する、芥川龍之介渾身の代表作です
- IA00668 (2020-02-19 評価=3.00)
■十六■ 僕はこの国にいることも憂鬱になり、人間の国に帰りたくなりました。そこで、漁夫バッグのアドバイスにより街はずれに住む年とった河童の家に行きました - IA00669 (2020-02-19 評価=3.00)
その年よりの河童は生まれた時には白髪頭でしたが、その後年が若くなり、現在は子どもで、清らかな幸福が漂っているように見えます - IA00670 (2020-02-19 評価=4.00)
僕が河童の国から出ていく路を尋ねると、年をとった河童は部屋の隅に歩み寄り、綱を引くと天窓が開きました。そして「あすこから出ていくがいい」と言いました - IA00671 (2020-02-20 評価=5.00)
■十七■ 僕は河童の国から帰ってきた後、しばらくは我々人間の皮膚の匂いに閉口しました。その後ある事業の失敗したため、河童の国に帰りたいと思うようになりました - IA00672 (2020-02-20 評価=4.00)
僕は家を脱け出し、中央線の汽車へ乗ろうとして巡査につかまり、病院へ入れられてしまいました。しばらくして病室に漁夫のバッグが見舞いにやって来ました - IA00673 (2020-02-20 評価=4.00)
僕の病は早発性痴呆症でしたが、多くの河童が訪問してくれました。向こうの机の上の黒百合の花束もクラバックの土産です。(が、机の上には何ものっていなかった) - IA00674 (2020-02-20 評価=4.00)
僕は哲学者のマッグがわざわざ持ってきてくれた本の最初の詩を声を出して読みました。(彼は古い電話帳をひろげ、詩を大声で読みはじめた)