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死罪を言い渡された父の無実を信じる長女のいち。懸命に助命に奔走するものの…。気丈な少女の姿に心打たれる、森鴎外の名作です

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    投稿 TypetrekJさん
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    417
    IA02298 (2021-12-08 評価=3.16)

    元文3年11月23日、大阪で船乗り業桂屋太郎兵衛を、三日間さらして斬罪に処する、との高札が立った。この事を家族に知らせた妻の母は、彼ら六人におばあ様と呼ばれていた
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    投稿 TypetrekJさん
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    406
    IA02299 (2021-12-09 評価=3.20)

    子供たちは、長女いち(16)、二女まつ(14)、養子の長太郎(12)、娘とく(8)、息子初五郎(6)の五人で、一昨年の太郎兵衛の入牢後の生活にもほどなく慣れて、元気に暮らしている

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    387
    IA02300 (2021-12-10 評価=3.25)

    子供たちは「父は遠い所から帰らぬ」と言われて、おばあ様を歓迎している。だが女房は当初厄難に茫然としていた。今もおばあ様に繰り言ばかりで夜目をさましてはため息をつく
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    322
    IA02301 (2021-12-11 評価=3.33)

    女房はため息をついていたが、母に繰り言を言えるまで二三日かかった。おばあ様が高札の話をした時も、繰り言を言って泣いた。だが、長女のいちが襖の陰で話を聞いていた

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    249
    IA02302 (2021-12-12 評価=3.66)

    ■厄難の顛末■ 元文元年の秋、太郎兵衛所有の船を新七という男に任せ、秋田から出帆したが、風波にあい積み荷の米半分以上を流出した。新七は残米を金に換えて大阪に戻った
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    336
    IA02303 (2021-12-13 評価=3.50)

    新七の誘いで太郎兵衛は心が曇り、残った金を船をしたてる費用にあてる事にした。米主が事実を知って大阪へ訴え出ると、新七は逃亡、太郎兵衛に死罪が行われる事となった

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    381
    IA02304 (2021-12-14 評価=4.00)

    ■願書■ 母親が寝入った後、いちは「きっとできる」と独り言をした後、妹に「父は明後日殺される。でも願い書を書いてお奉行様に出せば、きっと助けられる」と説明した
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    投稿 TypetrekJさん
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    352
    IA02305 (2021-12-14 評価=3.66)

    いちは、その代わり、跡取りで養子の長太郎を除き、私ども子供を殺してください、と頼む事を説明した。妹まつはこわい、と言ったが、いちは父を助ける為だからと納得させた

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    投稿 TypetrekJさん
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    387
    IA02306 (2021-12-14 評価=4.00)

    いちは起きて、手習いの半紙にひらがなで父を助命し、自分と妹のまつ、とく、弟の初五郎へおしおきをお願いしたい、という願書を苦労して書いた。そして子供たちを起こした
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    投稿 TypetrekJさん
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    387
    IA02307 (2021-12-15 評価=4.25)

    長太郎も行くと言ったので、いち、妹のまつ、長太郎の三人は二番鶏の鳴く朝四時頃そっと家を抜け出した。道は夜回りのじいさんが親切に月番の西奉行所の場所を教えてくれた

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    投稿 TypetrekJさん
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    380
    IA02308 (2021-12-15 評価=4.33)

    町奉行所の十一月の当番は佐々又四郎成意であった。西奉行所の門番所に着き、門はまだ閉まっていたが、いちの呼びかけで顔を出した男は「親が出て来るがよい」と取り合わない
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    358
    IA02309 (2021-12-15 評価=4.00)

    いちが明日おしおきになる、と説明しても帰れ、と窓を閉めたので、三人は門の前にしゃがみ、門のあくのを待った。だいぶ久しく待って、先ほどの男が門をあけた。

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    353
    IA02310 (2021-12-16 評価=4.00)

    三人が門内に進むと、門番が「これこれ」と声をかけた。いちが、お願いを聞いていただくまで帰らない、と言うと、騒ぎを聞いた詰め衆が数人出てきて子供たちを取り巻いた
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    335
    IA02311 (2021-12-16 評価=3.50)

    いちはうずくまり、願書を与力に差し出した。与力は門番が「さらし物になっている桂屋太郎兵衛の子供で命乞いに来たようです」と説明すると、とりあえず願書を受け取った

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    420
    IA02312 (2021-12-16 評価=3.50)

    ■奉行所■ 西町奉行の佐々は、事件の処刑手続きも済み、重荷をおろした積もりでいた。そのため命乞いの願いは邪魔に感じたが、既に預かっている願書を内見することにした
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    投稿 TypetrekJさん
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    344
    IA02313 (2021-12-17 評価=4.00)

    佐々は与力から願書を受け取った。与力が「いちは十四五歳ぐらい」と言う通り、願書はかな文字だが、条理がよく整っていて、佐々にはおとなが書かせた願書のように思えた

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    投稿 TypetrekJさん
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    314
    IA02314 (2021-12-17 評価=4.00)

    真偽を探るためにも、佐々は与力に、願書は持ち帰り町年寄に出すように子供に伝え、引き立ててでも帰せと命じた。その後、城代が訪ねてきたので佐々はさしずを請うた
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    投稿 TypetrekJさん
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    353
    IA02315 (2021-12-18 評価=4.00)

    城代の太田備中守は、町年寄らに子供らを連れて出させ、白州で子供を自白させる、という佐々の考えに同意した。ちょうど与力が来て、子供らを引き立てて帰したと伝えた

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    投稿 TypetrekJさん
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    388
    IA02316 (2021-12-18 評価=4.00)

    ■取り調べ■ 西町奉行所の拷問道具が並ぶ白州で取り調べが行われた。太郎兵衛の家族は町年寄五人に連れられて来た。女房は何も申し立てなかったが、いちは臆せず陳述した
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    投稿 TypetrekJさん
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    413
    IA02317 (2021-12-19 評価=4.00)

    いちは、祖母の話を立ち聞きして出願を思い立ち、妹を勧誘し願書を書いた事などを説明し、誰にも相談していないことを明言、本人の希望で長太郎の願書も書いた、と述べた