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夜長姫と耳男 (坂口安吾) 79分割入力文の数= 79 <<   1  2  3  4   >>

耳を切り取られた耳男(みみお)が無邪気で残酷な長者の娘夜長姫(よながひめ)の為に彫る仏像とは…。坂口安吾が独特の語り口でつづる傑作説話物語

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  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    294
    IA02460 (2022-02-23 評価=3.00)

    アナマロが「長者とヒメがお召しだ。斧を持ってついてこい」と言った。オレが斧をとってくると、アナマロが「座れ」と腰をおろしたので、オレも向かい合って座った
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    370
    IA02461 (2022-02-24 評価=4.00)

    アナマロは「この先ここにいてもろくなことはない。命にかかわることが起こるかも知れぬから、一袋の黄金をやるので逃げて帰れ。あとはオレが適当に申し上げておく」と言った

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    345
    IA02462 (2022-02-24 評価=3.00)

    オレを追いだしたいのかと思い「一文もいらない。オレが勝手に三年間仕事をすれば差し支えありますまい」と叫ぶと、アナマロは「お主が未熟だとは言っていない」と言った
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    392
    IA02463 (2022-02-25 評価=4.00)

    アナマロはオレの両肩に手をかけ「斧を持参せよ、とはご主人様の言いつけで、『逃げよ』はオレの言葉だ。だが実は長者もそう望んでいる」と言った。オレはワケを尋ねた

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    402
    IA02464 (2022-02-25 評価=4.00)

    アナマロは「お主の命に関わることが起こるかもしれぬ」と言った。オレは即座に「腕くらべを怖れたりはしない。オレは命を仕事にかける」と答えると、彼は諦めて歩き始めた
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    400
    IA02465 (2022-02-26 評価=4.00)

    ★ オレは奥の庭へみちびかれ、ムシロに座った。後ろ手にいましめられたエナコが向かいに控えていてオレを睨んだ。耳の痛みがとれた後、この女を思いだした事もなかった

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    308
    IA02466 (2022-02-26 評価=3.00)

    女はなぜオレを憎むのだ? オレの呪いの一念は魔神を刻むことだ。十五の歳に骨折した時も、休みは許されず、片手片足で天井と鴨居の間の彫刻を、痛みに泣き泣き刻んだものだ
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    407
    IA02467 (2022-02-27 評価=4.00)

    片耳を斬り落とされた痛みも仕事の励みになっただけで、女に思い知らせようと考えていない。女をほしがっていると思い呪っているのか? 女がオレを憎むワケが分からなかった

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    393
    IA02468 (2022-02-27 評価=5.00)

    スダレの奥の長者から指示を受けて、アナマロが「女奴隷エナコは死罪に処する。耳男、斧で首をうて」とオレに告げた。エナコがオレを仇のように睨むのは道理だった
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    334
    IA02469 (2022-02-28 評価=5.00)

    オレは「御親切は痛みいるが、それには及びますまい」と言い立ち上がってエナコの縄を切った。元の座に戻ると「森に棲む虫ケラに耳をかまれたと思えば、腹も立たぬ」と言った

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    356
    IA02470 (2022-02-28 評価=4.00)

    だが、顔が赤く染まり汗があふれ出た。有りもせぬ下心を疑られては迷惑と気に掛けていたことを、意外にもアナマロの口から出たことで虚をつかれ、うろたえてしまったのだ
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    335
    IA02471 (2022-03-01 評価=3.00)

    赤面と汗は抵抗しがたい大敵だった。つとめて無心になる以外に手段がなかった。ヒメが「スダレをあげて」と命じた。ヒメの顔を見たかったが、目を開けて確かめるのを控えた

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    357
    IA02472 (2022-03-01 評価=4.00)

    ヒメが「目を開けて答えて。虫ケラにかまれたようだって本当?」と尋ねた。オレが大きくうなずくと、ヒメがエナコに言った「お母様の形見の懐剣で、耳男の片耳もかんでおやり」
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    361
    IA02473 (2022-03-02 評価=4.00)

    オレが命を助けたエナコは、懐剣を受けとった。可憐なヒメは無邪気な笑顔だ。エナコは懐剣を返すことができるか? 巧みな言葉で懐剣をせしめれば、なお面白い

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    344
    IA02474 (2022-03-02 評価=3.00)

    ――オレのなぜそう考えたのかフシギだった。片耳を失った大本の原因はヒメだ。ヒメがオレの耳を斬れと命じているのに、オレがそれを単に幸福な遊びと考えたのはフシギだった
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    294
    IA02475 (2022-03-03 評価=3.00)

    ヒメの笑顔に見とれ心の隙ができた。すさまじい気魄に気づいた時には、エナコはオレの鼻先で懐剣のサヤを払い、オレの耳の先をつまんでいた。オレは茫然とヒメを見た

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    337
    IA02476 (2022-03-03 評価=4.00)

    耳がそぎ落とされた。ヒメの目は冴え頬に赤みがさしたが、すぐに消えた。これで全部かと怒っているようにも見えた。ヒメは物も言わずに去り、オレの目に大粒の涙がたまった
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    358
    IA02477 (2022-03-04 評価=3.00)

    ★ それから足かけ三年。オレは目に残るヒメの笑顔を押し返すため、怖ろしいモノノケの像を彫った。ひるむ心が起こると、水を浴び、松ヤニをいぶし、土フマズに火を当てた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    325
    IA02478 (2022-03-04 評価=3.00)

    オレは周囲の草むらに棲む無数の蛇をひっさいて生き血をのみ、モノノケの像にもしたたらせた。死体は天井から吊し、蛇の怨霊がオレと仕事にのりうつれと念じた
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    339
    IA02479 (2022-03-05 評価=4.00)

    ヒメの笑顔を押し返す力のあるモノノケを造るのは苦しかったが、吊した蛇に襲われる幻でオレは力がわいた。三年目の春、オレは仕上げの急所にかかり蛇の生き血に飢えていた