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夜長姫と耳男 (坂口安吾) 79分割入力文の数= 79 <<   1  2  3  4   >>

耳を切り取られた耳男(みみお)が無邪気で残酷な長者の娘夜長姫(よながひめ)の為に彫る仏像とは…。坂口安吾が独特の語り口でつづる傑作説話物語

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  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    307
    IA02480 (2022-03-05 評価=4.00)

    オレは山の動物の血を像にしたたらせ「ヒメの十六の正月にイノチが宿り、人の生き血を吸う鬼となれ」と願った。二人のタクミは秋に仕事を終えたが、オレはズシが残っていた
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    294
    IA02481 (2022-03-06 評価=4.00)

    ズシの仕上げは大晦日の夜までかかった。手のこんだ細工はできなかったが素朴で気品が宿ったものとなり、深夜に運びだして二人のタクミの作品の横へ並べ、眠りこけた

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    404
    IA02482 (2022-03-06 評価=4.00)

    ★ オレは戸を叩く音に目をさました。女中だと思い、うるさいと怒鳴ると「戸をおあけ」と特徴のある抑揚の声が返ってきた。ヒメだった。オレは恐怖で凍りついた
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    348
    IA02483 (2022-03-07 評価=4.00)

    枯れ柴を積み火をつけようとしているらしく、ヒメは「出てくるようにしてあげますよ」と言った。戸をあけると、中を見て侍女はたじろいだが、ヒメは平気で中を見まわした

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    363
    IA02484 (2022-03-07 評価=3.00)

    ヒメは、ぶらさがったり落ちくずれた蛇の骨を見て、笑顔に感動がかがやいた。こんな仕事場はオレの小屋だけだと説明すると、ヒメは満足のため笑顔が冴えかがやいた
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    367
    IA02485 (2022-03-07 評価=4.00)

    ヒメは見終り「燃やしてしまうがよい」と指示し、オレにミロク像が気に入ったからホービをあげたい、と言った。オレは邸に導かれて入浴し着がえたが、殺されると思った

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    363
    IA02486 (2022-03-08 評価=4.00)

    この笑顔がエナコのクビを斬り落とせと命じ、オレの耳が斬り落とされるのを平然と眺めていたのだ。アナマロも長者もこの笑顔には施す術がないのであろう
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    378
    IA02487 (2022-03-08 評価=3.00)

    ヒメの言葉を思いだすと、その怖ろしさにぞっとすくんだ。その笑顔こそ真に怖ろしい唯一の物だ。今生の思い出に、この笑顔を刻み残して殺されたいとオレは考えた

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    303
    IA02488 (2022-03-09 評価=4.00)

    ヒメがオレを殺すことは疑う余地がないように思われ、恐怖に息がとまりかけた。だが、きりぬける方法は考えついていた。それはタクミとしての願望にもかなっていた
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    333
    IA02489 (2022-03-09 評価=4.00)

    オレは、奥の間でヒタイをすりつけて長者とヒメに「お姫サマのお顔お姿を刻ませてください」と頼んだ。長者とヒメはあっさり了承し、長者はオレにやさしく声をかけた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    368
    IA02490 (2022-03-10 評価=4.00)

    長者が、エナコが死んで約束が果たせず残念だ、と言った。ヒメはエナコは懐剣でノドをついて死んだ、オレが着ている下着は、エナコの着物を仕立て直したものだと言った
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    350
    IA02491 (2022-03-10 評価=3.00)

    ★ そのころホーソーが流行し、家々は疫病除けの護符を貼り戸を閉ざした。長者の家も同様だったが、ヒメの部屋だけは雨戸を閉めず、耳男の造った像を疫病よけに門前にすえた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    316
    IA02492 (2022-03-11 評価=3.00)

    オレは青ガサの残した小屋で、持仏造りに精魂かたむけていた。ヒメは時々高楼にのぼって村を眺め、その際死者を森へすてに行く人群れを見かけると、オレの仕事を見に来た
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    373
    IA02493 (2022-03-11 評価=4.00)

    ヒメは仏像には一目もくれず「今日も死んだ人があるのよ」とたのしそうであった。ヒメはオレの像を門前へすえさせた時も「蛇の生き血をあびて刻んだバケモノ」と言ったそうだ

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    294
    IA02494 (2022-03-12 評価=4.00)

    オレが呪いをかけて刻んだことまで知りぬき、オレを生かしオレの像を疫病よけに使うヒメが怖ろしかった。ヒキデモノをオレに与えた元日にはヒメの言葉に長者も蒼ざめていた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    306
    IA02495 (2022-03-12 評価=4.00)

    オレはいつヒメに殺されてもフシギではない。彫っている像はヒメの笑顔に近づいてきたが、笑顔の秘密に向かいあわねばならない。だが、あどけない事が全てで秘密はないのだ

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    358
    IA02496 (2022-03-13 評価=3.00)

    黄金をしぼった露で産湯をつかったヒメは、黄金の匂いがするそうだ。オレのノミは、匂いを刻みださねばならない。オレを殺すかもしれないヒメの本心など訊きたくなかった
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    334
    IA02497 (2022-03-13 評価=4.00)

    タクミにとってはヒメの笑顔と匂いが全てだ。疫病が去ったが、長者の邸は病人が出なかったので、オレのバケモノは村人に一躍信心され、その事を長者も吹聴した

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    378
    IA02498 (2022-03-15 評価=4.00)

    バケモノは山の下のホコラに鎮座し、遠くからも人々が拝みに来た。オレの名も高まり、夜長ヒメの生き身は尊い神の化身という評判が広がった。門前に供え物を置く者もあった
  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    371
    IA02499 (2022-03-15 評価=4.00)

    供え物を勧めるヒメに、生き神様へのお供えだからと断ると、ヒメは「お前のバケモノはホーソー神を睨み返す力があったが、今お前が造るミロクには全く力がない」と言った