舞台はパリ。モルグ街で発生した女性惨殺事件を、友人デュパンが鋭い分析力で推理する。史上初の本格推理小説としても有名な、ポーの代表作
- IA02581 (2022-04-20 評価=5.00)
(■調査)デュパンは「この殺人事件について、僕たち自身で少し調べてみようじゃないか」と言った。そして、彼は知り合いの警視総監から許可を得ると、私とモルグ街へでかけた - IA02582 (2022-04-20 評価=5.00)
現場は門番小屋があるパリ風の家で、デュパンは家や周囲の通りを観察した後、許可書を管理人に見せて中に入った。娘の死体が発見された部屋に、二人の遺体は横たわっていた - IA02583 (2022-04-20 評価=4.00)
憲兵付き添いのもと、デュパンは死体や部屋を精密に調べ、中庭を歩いてから新聞社に立ちよって帰った。翌日の昼、彼は「現場で変わった事に気づいたかい」と私に尋ねた - IA02584 (2022-04-21 評価=5.00)
私が「新聞で見たこと以外にはないよ」と答えると、彼は「警察は異様な事件だけに動機が分からず、殺人の凶暴さに当惑しているが、私には解決は容易だと思われるのだ」と言った - IA02585 (2022-04-21 評価=5.00)
(デュパン)「部屋が乱雑で、死体が煙突の中にあり、老夫人がむごたらしく切られていた異常さが警察を麻痺させている。全く起こったことのないことは何か、考えるべきなんだ」 - IA02586 (2022-04-21 評価=5.00)
(続き)「僕はこの犯行に、いくらか関わっているに違いない一人の人間を待っている。男がやって来たら、ピストルを使ってでもひきとめなければない」 - IA02587 (2022-04-22 評価=5.00)
(続き)「階段にいた連中の聞いた争うような声は、証言により母娘の声でないことが明らかだ。だから、まず母親が娘を殺し、自殺した可能性はない」 - IA02588 (2022-04-22 評価=4.00)
デュパンは「さて、君は証言の妙なことに気づかなかったかね?」と質問した。私は荒々しい声はフランス人で一致しているのに、鋭い声に関しては意見の相違がある、と答えた - IA02589 (2022-04-22 評価=4.00)
(デュパン)「それは証言そのもので、特異な点じゃない。特異な点は、国籍の違うめいめいがみんなそれを外国人の声だと信じていることなんだ」 - IA02590 (2022-04-23 評価=4.00)
(続き)「こういう証言から考えると、鋭い声というのは、実に奇妙なただならぬものだったにちがいないね!」 - IA02591 (2022-04-23 評価=4.00)
(続き)「欧州各国の人間が聞きとれない上、耳ざわりな声・速くて高低のある声、と述べた証人もいる。これらの声は調査の進展に『正しい推定』を与えるものだ」 - IA02592 (2022-04-23 評価=4.00)
(続き)「正しい推定は手がかりになる。そして、その手がかりは僕の調査に確実な方向性を与えた。犯人は幽霊じゃない。実体があって、実体が逃げたんだ」 - IA02593 (2022-04-24 評価=5.00)
(続き)「一同が階段にいた時、娘のいた部屋かその隣の部屋に加害者がいたことは明らかなのに、どうやって逃げたんだ? 扉は内側から施錠されていたし、煙突は狭くて通れない」 - IA02594 (2022-04-24 評価=4.00)
(続き)「とすると残るは窓だ。群集がいる表ではなく、裏の部屋の窓からだ。第一の窓は邪魔がないが、第二の窓は寝台が押しつけてあるために下の方が隠れている」 - IA02595 (2022-04-24 評価=5.00)
(続き)「両方の窓とも閉められていて、窓枠には太い釘が打ちこんである。警察はここからは逃げられないと考えた。だが、僕はそう見えるだけだと思った」 - IA02596 (2022-04-25 評価=5.00)
(続き)「僕は帰納的に考えた。窓枠は閉まっていたのだから、窓はバネ仕掛けで、自動的に閉まるようになっているかもしれない、と気づいた」 - IA02597 (2022-04-25 評価=5.00)
(続き)「窓を閉める隠しバネはすぐ見つかった。だが、加害者が釘を抜いて、元に戻すことなどできない。そこで調べてみると、第二の窓にも同じバネが見つかった」 - IA02598 (2022-04-25 評価=4.00)
(続き)「こちらの釘も頭のところまで打ちこんであった。が、僕はひるまず推理の鎖をたどって行った。――その釘も第一の窓のものと同じように見えたが…」 - IA02599 (2022-04-26 評価=5.00)
(続き)「調べると、釘は頭から6ミリほどの場所で折れていた。釘の頭は窓枠と一緒に動くから、窓を閉めると釘が折れている事が分からない。加害者はこの窓から逃げたんだよ」 - IA02600 (2022-04-26 評価=5.00)
(続き)「彼が出ると窓は自然に閉じたが、警察は釘どめされていると考え調査しなかった。外側は窓から約1.5mの所に避雷針が通り、鎧戸は古いフェラード形式だった」