舞台はパリ。モルグ街で発生した女性惨殺事件を、友人デュパンが鋭い分析力で推理する。史上初の本格推理小説としても有名な、ポーの代表作
- IA02561 (2022-04-10 評価=3.00)
「私は君が、元靴直しの役者が名前を変えた話と結びつけるだろうと思ったから、シャンティリの話をしたのさ」と彼は言った。 ある日、新聞夕刊の記事が我々の注意をひいた - IA02562 (2022-04-10 評価=4.00)
(■新聞夕刊記事 引用)奇怪な殺人事件」モルグ街の建物四階から母娘の悲鳴が洩れ、憲兵らが門口を壊して入ると、戦慄させる光景が現出した - IA02563 (2022-04-11 評価=5.00)
室内は乱雑を極め、血まみれのカミソリや、引き抜かれた二束の人間の髪の毛が残されていた。タンスも金庫も開かれて、金貨や銀のスプーンが床に散らばっていた - IA02564 (2022-04-11 評価=5.00)
暖炉の煙突の中からは、頭部を下にした体中傷だらけの娘の死体が発見された。建物の裏の中庭には、激しく損傷した老婦人の死体が横たわっていた - IA02565 (2022-04-12 評価=4.00)
(■翌日の続報)●洗濯女の証言「老夫人と娘との仲はよかったようだ。夫人の生業は占いで、かなりお金を貯めているという噂だった。家を訪れた際に、二人以外を見た事がない」 - IA02566 (2022-04-12 評価=3.00)
●煙草商の証言「家は夫人の所有で、以前宝石商に貸していたが、又貸しされたのを嫌い、六年前に夫人たち自身が住みはじめた。夫人は金があり占いをしているという話だ」 - IA02567 (2022-04-13 評価=3.00)
近所の人々も、新しくよい家だが、出入りする者はほとんどなく、表の窓の鎧戸は殆ど開かれなかったと証言した。 ●憲兵の証言「朝三時頃、戸口を銃剣でこじあけた(続く)」 - IA02568 (2022-04-13 評価=4.00)
(続き)「悲鳴は門が開くと突然やんだ。踊り場に着いたとき、フランス語の荒々しい声と、外国人のスペイン語らしい鋭い妙な声が聞こえた。男女どちらの声かは不明」 - IA02569 (2022-04-14 評価=4.00)
●銀細工業のフランス人隣人の証言「イタリア語は分からないが、鋭い声はイタリア人の声だと思う。フランス人の声ではない。被害者は知っているが、彼等の声ではない」 - IA02570 (2022-04-14 評価=3.00)
●オランダ人料理店業者の通訳を介した証言「鋭い耳ざわりな声は確かにフランス人の恐れと怒りの声だ。荒々しい声は『畜生』『くそ』『こら』だった」 - IA02571 (2022-04-15 評価=3.00)
●銀行の頭取は夫人には財産があり、死の三日前に金貨を4000フランを行員アドルフ・ル・ボンが届けたと証言した。本人は袋を二つ届けた際路上には誰もいなかったと証言した - IA02572 (2022-04-15 評価=4.00)
●イギリス人仕立屋の証言「荒々しい声はフランス人の声で『畜生っ』『こらっ』とはっきり聞いた。格闘の音も聞こえた。鋭い声はドイツ人の高い声だった」(続く) - IA02573 (2022-04-16 評価=3.00)
(続き)「表も裏も部屋の窓はしまり、廊下への扉は鍵がかかっていた。屋根裏部屋の引き窓は釘付けされていた。煙突の中もふくめ、家じゅう丹念に捜索した」 - IA02574 (2022-04-16 評価=3.00)
●スペイン生まれの葬儀屋は、荒々しい声はフランス人、鋭い声はイギリス人と証言した。●イタリア人の菓子製造人は、荒々しい声はフランス人、鋭い声はロシア人と証言した - IA02575 (2022-04-17 評価=4.00)
煙突は狭くて人間は通れず、彼等が通った階段以外に部屋への通り道はない、と数人が証言した。 ●検視した医師の証言「娘にはひどい打撲傷と擦り傷があった」(続く) - IA02576 (2022-04-17 評価=4.00)
(続き)「娘は咽喉の擦り傷、あご下の傷と指の痕等から一人または数人による絞殺、母は切り傷や怪力の体中の骨折から、怪力の男による重く鈍い形の凶器を用いた犯行だろう」 - IA02578 (2022-04-18 評価=4.00)
夕刊には、銀行員アドルフ・ル・ボンが特段の理由なく逮捕されたと付記されていた。デュパンはこの事件の進展に興味を示し「見せかけの調査で判断してはならない」と言った - IA02579 (2022-04-19 評価=4.00)
(デュパン)「パリ警察は小利口なだけで、手段を見せびらかすが方法がない。パリの(実在の名探偵)ヴィドックは根気強く推量もうまい。だが調査熱心すぎて全体を見失うんだね」 - IA02580 (2022-04-19 評価=4.00)
「考えは深すぎてもいけない。重要な知識というものは、いつも表面にあるものだと僕は信じる」とデュパンは言った。