入力文リスト
<
偸盗 (芥川龍之介) 122分割入力文の数= 122 <<   1  2  3  4  5   >>

「偸盗(ちゅうとう)」は美しい盗賊団の女首領と、彼女に振り回される太郎と次郎の兄弟の物語。芥川龍之介が描く平安の都を舞台にした愛憎と狂気の世界

作家や目的で選ぶ

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    451
    IA04135 (2024-06-30 評価=4.00)

    ■三 老婆と別れた太郎は、静まり返った朱雀大路を歩いていた。そして片目の自分と異なり、目鼻立ちの整った若い弟の次郎に沙金を奪われるかもしれない、と思った
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    393
    IA04136 (2024-06-30 評価=5.00)

    弟は沙金の誘惑に乗らない、と信じていたが、虫のいい了見かもしれない。沙金の媚びに乗って身を滅ぼした男は大勢いる。おれもそうだ。と、そこへ目立つ女車が通りかかった

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    445
    IA04137 (2024-07-02 評価=5.00)

    付き添いの者たちが太郎をうさん臭く見ながら、牛車は通り過ぎた。太郎が真面目に獄で放免をしていた頃にくらべると、悪事に手を染める今の自分は、すっかり変わってしまった
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    462
    IA04138 (2024-07-02 評価=5.00)

    一年前、盗みの咎で獄へ来た沙金と仲良くなり、沙金を仲間が牢から救い出すのを見逃してやった。その後は何度も猪熊のばばの家で酒を飲み、沙金と恋人のようにふるまった

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    400
    IA04139 (2024-07-03 評価=4.00)

    沙金はばばの連れ子で、現在は二十何人かの盗人の頭。日ごろは容色を売っていることを太郎にはわかって来た。そこへ、米俵を積んだ馬が大路を南へ下って来た
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    414
    IA04140 (2024-07-03 評価=5.00)

    (おれは、あの女と養父の関係にも気づいたし、本人が関係した公卿らの名をおれに自慢した。だが、心はおれだけが占有していると信じて、嫉妬を押さえていた

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    439
    IA04141 (2024-07-05 評価=4.00)

    だが、女と養父の関係は不快だった。おれが太刀へ手をかけると、沙金は養父をばかにしてごまかした。どちらかに勇気があれば、片方が死んでいただろう……)
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    421
    IA04142 (2024-07-05 評価=3.00)

    太郎は五条の橋の下で、昔一緒に魚を釣った事もある次郎を思った(突然ある日、小舎人になっていた弟が盗みの疑いで獄へ入れられた。俺は獄の苦しさをよく知っていた

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    416
    IA04143 (2024-07-06 評価=5.00)

    沙金に相談すると「牢を破ればいい」と言う。おれは覚悟を決めて、仲間を集め、弟を救い出した。俺は胸に傷を受けたが、それより忘れられないのは、放免の一人を切り殺した事だった
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    376
    IA04144 (2024-07-06 評価=5.00)

    その後、俺と弟は沙金の言うなりになって、盗人の仲間に入り、悪事を始めた。そのうち悪事を働くのは自然かもしれないと思い出した)

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    424
    IA04145 (2024-07-07 評価=5.00)

    (おれはますます沙金に愛着を感じたが、命を賭けて助けた弟に、その沙金を奪われようとしている。おれは沙金の心を疑わず、仕事上での男との関係は許していたが、次郎は別だ
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    428
    IA04146 (2024-07-07 評価=5.00)

    天然痘でおれは片目を失って醜い不具となった。それでも沙金の心を捕らえていたのは魂の力だ。だが同じ魂を持つ美しい弟に沙金が心ひかれたら、次郎が誘惑に勝てようとは思われない

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    355
    IA04147 (2024-07-09 評価=4.00)

    次郎と沙金が近づくのは無理もないが、おれには苦痛だ。沙金だけでなく次郎もいっしょに失うことだからだ。弟を殺すか、殺されるか)そのとき太郎は、子供の腐乱死体を見つけた
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    386
    IA04148 (2024-07-09 評価=4.00)

    太郎は自分の行く末を見せつけられたような心もちがした。最近の沙金はおれを避けるし、たまに会うとけんかになる。だが沙金を失うのは、おれの二十年の生涯を失うのと同じだ

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    361
    IA04149 (2024-07-10 評価=3.00)

    おれはすべてを失う時が来たのか)太郎が猪熊のばばの家に来た。猪熊の爺(おじ)の声に交じって、けたたましい女の声が聞こえたので、太郎は足をふみ入れた
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    456
    IA04150 (2024-07-10 評価=3.00)

    ■四 次郎は、猪熊のばばと別れて立本寺にやって来ると、初めて落ち着いて兄と自分の関係を考えることができた

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    414
    IA04151 (2024-07-11 評価=5.00)

    兄は、自分をかたきのように思っている。だから皆と別れて東国へ下ろうと兄に会いに行ったが、兄はそっけなかった。結局その後沙金に会うと東国へ行く決心を忘れてしまった
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    450
    IA04152 (2024-07-11 評価=4.00)

    自分は兄に同情し、自分の不義を憎んでいる。それは兄に察してほしい。自分は沙金に恋をしているが、あの女の多情さやうそは憎んでいる。

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    414
    IA04153 (2024-07-12 評価=4.00)

    兄は、あの女の獣のような心を憎んではおらず、ほかの男との関係も許しているらしいが、自分は嫉妬する。沙金がほかの男に肌身を汚したり、心を移すのは許せない
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    424
    IA04154 (2024-07-12 評価=4.00)

    兄と自分は考え方が違うから仲が悪くなるのかもしれない。そのうち、一組の男女が彼の前を通りかかった。酒に酔った立派な太刀を帯びた正装の三十男と、衣で顔を隠した沙金である