「偸盗(ちゅうとう)」は美しい盗賊団の女首領と、彼女に振り回される太郎と次郎の兄弟の物語。芥川龍之介が描く平安の都を舞台にした愛憎と狂気の世界
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太郎は「おぬしのような畜生はこれで相当だ」と爺につばをはくと、爺は「沙金は次郎殿の妻でもある。弟の妻を盗む奴は畜生じゃ」と悪態をつく。太郎は爺を殺さなかった事を後悔した - IA04176 (2024-07-26 評価=3.00)
爺はさらに「今の話はぜんぶうそじゃ」と言いはじめ、ろれつがまわらなくなって来た。太郎は嫌悪の情に襲われ、外へ出た - IA04177 (2024-07-27 評価=4.00)
太郎は集合場所の羅生門へ行くことにして歩きだした。四条大路へ出た時、笑いながら一組の男女が通り過ぎるのを見た。太郎は額を曇らせ「みんな畜生だ」とつぶやいた - IA04179 (2024-07-28 評価=5.00)
朱雀大路のはずれの羅生門のほとりでは、弓を震わせる弦打ちの音が響き合っていた。そこには太刀や矢、斧や戟を持った者たちが集っており、先頭に太郎がいた - IA04180 (2024-07-28 評価=4.00)
猪熊の爺、ばば、次郎、阿濃らもいる。沙金は太刀をはき、弓を杖にして皆に手ごわい相手であることを告げ、太郎には裏の厩舎にいる馬を頼むと言った。太郎はうなずいた - IA04181 (2024-07-29 評価=4.00)
沙金は、阿濃にやさしく「お前はここで待っていておくれ」と言った。猪熊の爺は「されば行こう。ぬかるまいぞ」と仲間をふり返った - IA04182 (2024-07-29 評価=5.00)
二十三人の盗人どもは、沙金を中に朱雀大路へ押し出した。あとには、羅生門の窓から遠い月の出をながめている阿濃の顔があった - IA04184 (2024-07-30 評価=3.00)
次郎のこめかみ付近からは血が流れているが、その痛みも気にならない。彼は侍の一人の脾腹を深く切りこみ骨を切った。もう一人の侍は肘をしたたか切られて、敗走した - IA04185 (2024-07-31 評価=4.00)
彼は、立本寺の門前まで逃げてきた。さて、半刻ばかり前、藤判官の屋鋪を襲った偸盗の一群は、中門などから射出された矢に何人も倒されて後退することとなった - IA04186 (2024-07-31 評価=5.00)
平六が「お頭にけがをさすな。弓を射ろ」と斧の柄をたたくと、盗人からも矢叫びが上がる。次郎は一種の呵責を感じた。そして、平六が「十郎を見殺しにするな」と叫んだ - IA04187 (2024-08-01 評価=5.00)
十郎が太ももに矢を受け、立てなくなっていた。次郎も助けようと思ったが、平六が「お頭に付き添え」と制した。十郎を救おうとした盗人たちに、六七頭の猟犬が襲いかかった - IA04188 (2024-08-01 評価=4.00)
味方も殺到し、沙金は弓に矢をつがえて身がまえる。敵と味方は十郎の前後で、打ち合い始め、猟犬が吠えた。そのうち裏に回っていた仲間の一人が次郎たちにかけよってきた - IA04189 (2024-08-03 評価=4.00)
かけよって来た男は、太郎さんが門の中で囲まれたがその後は分からない、おじじとおばばも手傷を負ったようだと告げた。沙金はひき上げましょう、と言い次郎に口笛を吹かせた - IA04190 (2024-08-03 評価=4.00)
だが、盗人たちは余裕がないらしく、引き上げの合図の口笛にも引き返すことができない。沙金と次郎だけが退却を始めると、犬と人が迫ってきた。沙金は弓で白犬を一頭倒した - IA04191 (2024-08-03 評価=5.00)
犬に続き男が次郎に切りかかる。沙金と一緒にいた男である。沙金が男と謀り自分も殺そうとしているのでは、という疑念を抱いた次郎は、怒りを感じて太刀を男の胸に突き刺した - IA04192 (2024-08-03 評価=5.00)
男の顔を藁くつで踏みつけると、次郎は快感を感じたが、すぐに何人かの侍が次郎を取り囲んだ。その時、刃を彼に向けていた男が後頭部に矢を受け倒れた - IA04193 (2024-08-04 評価=4.00)
これまで、彼は多くの相手と渡り合い、生死の危急をさまよっていた。一人を殺し一人を追いはらったあとで、犬だけになり恐れる事もないと思ったが、それは間違いだった