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偸盗 (芥川龍之介) 122分割入力文の数= 122 <<   3  4  5  6  7   >>

「偸盗(ちゅうとう)」は美しい盗賊団の女首領と、彼女に振り回される太郎と次郎の兄弟の物語。芥川龍之介が描く平安の都を舞台にした愛憎と狂気の世界

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  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    429
    IA04195 (2024-08-05 評価=5.00)

    彼は、月の光をたよりにひた走りに逃げた。だが、犬たちに追われただけではなく、立本寺を辻を過ぎたところで餌食を争っている犬の群れに出会ってしまった
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    402
    IA04196 (2024-08-05 評価=5.00)

    野犬の群れは狩り犬のほえ声で戦いに巻きこまれ、八方から次郎に飛びかかった

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    442
    IA04197 (2024-08-06 評価=5.00)

    次郎は、犬の息が顔へかかると横なぐりに太刀をふるった。だが、腕の力が次第に衰え、多くの野犬の群れが続々と集まって来た
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    388
    IA04198 (2024-08-06 評価=4.00)

    次郎は絶望の目をあげて、天罰だと思った。次郎が左の太ももに牙が立つのを感じた時、馬蹄の音が聞こえた

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    420
    IA04199 (2024-08-07 評価=4.00)

    加茂川の橋が暗く浮き上がり、周囲は白々と明るくなって来た
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    389
    IA04200 (2024-08-07 評価=4.00)

    窓によりかかった阿濃は次郎の事や胎児の事を思い、つらい思いの多かった自分の幼い頃のことを考えていた

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    413
    IA04201 (2024-08-08 評価=4.00)

    沙金に助けられ盗人の群れに入った事、それでも皆から苦しい目にあい続けていることを考えていた。次郎がやさしいことばをかけてくれなかったら身を投げていたかもしれない
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    378
    IA04202 (2024-08-08 評価=3.00)

    ひとしきり、腹の子が身動きをする。子供が眠られないあまりに手足を動かして、泣いてでもいるのかもしれない。「いい子だ、ねんねして」と、彼女は胎児にささやいた

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    435
    IA04203 (2024-08-09 評価=4.00)

    阿濃は、腹の子を慰めようと、次郎が好む歌をうたった。「君をおきて あだし心を……」その子が誰の子であるか、阿濃は口をつぐんでいた
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    448
    IA04204 (2024-08-09 評価=4.00)

    盗人たちは、腹の子の親さえ知らない阿呆な女、とあざわらったが、阿濃は次郎の子だと信じていた

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    381
    IA04205 (2024-08-11 評価=3.00)

    歌の半ばで、阿濃は突然下腹に鋭い疼痛を感じた。 ―― さて、猪熊の爺は逃げかかったが方角を誤り、侍たちのただ中にはいってしまった
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    416
    IA04206 (2024-08-11 評価=4.00)

    「殿の家人じゃ」と叫んでも相手方は信じず、ののしられ打ちかけられる。爺は逃げ場はないかと焦ったが、周囲は太刀音と叫喚の声ばかり

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    337
    IA04207 (2024-08-12 評価=4.00)

    赤あざのある屈強な侍が爺に切りかかると、小路のまん中まで切り立て、爺の鉾(ほこ)の柄を切り折った
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    347
    IA04208 (2024-08-12 評価=4.00)

    爺が「だまし討ちじゃ」と叫びながら這って逃げようとすると、猿のようなものが赤あざの侍との間にとびこんできた。そして侍の胸に小刀を刺し通した

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    347
    IA04209 (2024-08-13 評価=4.00)

    だが猿のようなものも相手の太刀をあび、二人いっしょに倒れた。猿のようなものは、つかみ合いの後、小刀で男を倒した。息も絶え絶えの顔は猪熊のばばであった
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    418
    IA04210 (2024-08-13 評価=4.00)

    老婆は侍の死体の上で「おじいさん」と夫に呼びかけたが、爺はすでに逃げた後だった。死にかかっている老婆は、傷の痛みより強いさびしさを味わうことになった

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    409
    IA04211 (2024-08-15 評価=4.00)

    「おじいさん」老婆はささやくようにこう言うと、さめる時のない眠りに沈んだ。その時、口に血にまみれた刀をくわえた太郎が、栗毛の裸馬にまたがって走り過ぎた
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    376
    IA04212 (2024-08-15 評価=4.00)

    彼は、この馬だけは奪おうと心に決し、侍を切り払って厩(うまや)から馬を奪うと、自らの傷もいとわず、馬を駆ったのだった

  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    396
    IA04213 (2024-08-16 評価=3.00)

    自分以外、たれがこの馬を奪う事ができるだろう、沙金の心が再び傾くかもしれない。だが、切り伏せられている弟の姿が頭に浮かび、太郎は自分の卑怯を恥じた
  • 歴史
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    408
    IA04214 (2024-08-16 評価=5.00)

    辻を曲がると、群がる犬の中でたった一人太刀をかざした次郎が見えた。次郎もうなじをそらせて兄を見た。馬は吠えたける犬の群れに脅かされたのか、首を上に向け、空へ跳んだ