明治33年(1900)、留学中の作者は倫敦塔(ロンドンとう)に赴き、英国の歴史に思いを馳せる。幻想的に文章が練り上げられた、夏目漱石らしい美文調エッセイ
- IA04533 (2025-03-03 評価=3.00)
門をくぐる句が頭に浮かび、余は状態を失う。石橋を渡ると左右に丸形の石油タンク状の石塔があり、その先に中塔、鐘塔がそばだつ - IA04534 (2025-03-04 評価=3.00)
失政で怒れる市民が押し寄せるなど、事あるたびに鳴らした塔の鐘は今いずこ。少し行くと逆賊門がある。幾千の罪人は皆舟でこの門まで護送され、二度と戻れなかった - IA04535 (2025-03-04 評価=3.00)
舟に座す罪人の心中はどんなであったろう。(死刑になった)黒の法衣をまとった大僧正クランマー、鎖かたびらのワイアット、鳥の毛を帽子に挿したローリー - IA04536 (2025-03-05 評価=3.00)
逆賊門はその後テームス河と切り離され、舟のとも綱を繋いだ鉄環が残るのみだ。左に折れると多くの人を幽閉し、屍を積んだ血塔がある。その門の下には銃を帯びた兵隊が立っていた - IA04537 (2025-03-05 評価=3.00)
高窓を見上げると空想の舞台が見える。裸体の女神の像が描かれたタペストリの中に寝台があり、その寝台の端に(幽閉されている)二人の小児が見える - IA04538 (2025-03-06 評価=3.00) NEW
兄弟はよく似ている。兄(イングランド王エドワード5世、12歳)が書物を読むと、弟(ヨーク公リチャード、10歳)は「アーメン」と言い、兄の肩に顔をすりつける - IA04539 (2025-03-06 評価=3.00) NEW
「今日もまたこうして暮れるのか。命を助けてくれれば伯父(後のリチャード3世)に王の位を進ぜるものを」と兄はつぶやく。弟は「母様に逢いたい」とのみ言う - IA04540 (2025-03-07 評価=3.00) NEW
塔門の外では、気品はあるがやつれた感じの婦人(エリザベス・ウッドヴィル)が息子たちに逢いたい、と金の鎖を門番に渡そうとするが、男は拒絶し押し戻す - IA04541 (2025-03-07) NEW
中庭に黒装束の二つの影(兄弟を殺した者たち)が現れた。背の高い影が「寝覚めの悪い人殺しだった」と言う。もう一人は「話を聞いた時はやめようかと思った」と言う - IA04542 (2025-03-09) NEW
血塔の先にきれいな広場があり、真ん中の少し高くなった所に白塔がある。1399年、ここでリチャード2世は国民に33カ条の非を挙げて国民に譲位を迫られ、ヘンリーに位を譲った - IA04543 (2025-03-09) NEW
彼は8人の刺客に取り囲まれた。3人を倒したが背後からの一撃に倒れたという。帝王の歴史は悲惨の歴史である。また、ウォルター・ローリーが幽囚された一室や武器陳列場もある - IA04544 (2025-03-11) NEW
外国の歴史が明瞭になるのは嬉しい。中でもヘンリー6世の甲冑はよく覚えている。豪華で大きく、2メートル以上の大男でなくてはならぬ - IA04545 (2025-03-11) NEW
ビーフ・イーター(衛兵)が日本製の古い具足について、蒙古からチャールズ2世に献上されたものだと説明する。その後、ボーシャン塔に行く - IA04547 (2025-03-12) NEW
子供はカラスにパンをやりたいと言い、母親はだめだという会話を聞いてから、余はボーシャン塔に入る。中には、遺恨をこめた無数の記念がある