人と異なる感性を持つために、自堕落とも思われる人生を歩んでいく主人公、大庭葉蔵。作者自身の私小説とも目される日本文学史に輝く大ベストセラー
文字数
472
IA00416 (2019-10-25 評価=3.75)
■第二の手記■ 自分は、東北のある中学校に、受験勉強もろくにしなかったのに、どうやら無事に入学できました
文字数
594
IA00417 (2019-10-25 評価=4.33)
自分には、他郷のほうが生まれ故郷よりも、ずっと気楽な場所のように思われました
文字数
603
IA00418 (2019-10-25 評価=3.66)
しかし、体操の時間のワザとした失敗を、人もあろうに、竹一に見破られるとは全く思いもかけない事でした
文字数
529
IA00419 (2019-10-25 評価=4.00)
自分は、竹一が秘密を口走らないように監視していたい気持ちでした
文字数
595
IA00420 (2019-10-29 評価=3.66)
自分は竹一を手なずけるため、彼を二階の自分の部屋に誘い込むのに成功しました
文字数
604
IA00421 (2019-10-29 評価=3.66)
自分は念入りに竹一の耳だれを掃除をしてやりました。竹一も、これが偽善の悪計であることには気付かなかったようです
文字数
551
IA00422 (2019-10-31 評価=3.50)
自分には、人間の女性のほうが、男性よりもさらに数倍難解でした
文字数
557
IA00423 (2019-10-31 評価=4.00)
女は適度という事を知らず、いつまでもいつまでも、自分にお道化を要求し、自分はその限りないアンコールに応じて、へとへとになるのでした
文字数
519
IA00424 (2019-10-31 評価=4.00)
しばしば下宿の二人の娘は、自分の部屋へ遊びに来て、さんざん自分にお道化を演じさせました。自分はロイドのまねをしました
文字数
580
IA00425 (2019-10-31 評価=4.00)
自分は、女が急に泣き出したりした場合、何か甘いものを手渡してやると、機嫌を直す事を知っていました
文字数
328
IA00426 (2019-11-01 評価=3.50)
妹娘のセッちゃんは、よく友だちまで自分の部屋に連れて来ました
文字数
548
IA00427 (2019-11-01 評価=4.00)
竹一はゴッホの自画像を「お化けの絵」だと得意そうに説明しました
文字数
324
IA00428 (2019-11-05 評価=4.00)
画家たちは、人間という化け物に傷めつけられ、おびやかされた結果、道化などでごまかさず、見えたままの表現に努力した
文字数
667
IA00429 (2019-11-05 評価=4.00)
自分は絵は好きで画いてもいたが、竹一の言葉により絵画に対する心構えが間違っていたことに気が付きました
文字数
557
IA00430 (2019-11-05 評価=4.00)
自分でも、ぎょっとしたほど、陰惨な絵が出来上がり、竹一から「お前は、偉い絵描きになる」という予言を得たのでした
文字数
425
IA00431 (2019-11-05 評価=4.00)
自分は、東京の高等学校に受験して合格し、すぐに寮生活にはいりましたが、団体生活に辟易し、すぐにそこを出て、父の別荘に移りました
文字数
625
IA00432 (2019-11-07 評価=4.00)
自分は、安田新太郎氏の画塾で堀木正雄という画学生と知り合い、酒と煙草と淫売婦と質屋と左翼思想とを知らされました。
文字数
481
IA00433 (2019-11-07 評価=4.00)
自分がへどもどして堀木に五円貸すと、その画塾の近くの、蓬莱町のカフェに引っぱって行かれました。
文字数
435
IA00434 (2019-11-12 評価=4.00)
自分は、ただ遊ぶだけだ、遊びの相手として付き合っているだけだ、とつねに堀木を軽蔑し、時には交友を恥ずかしくさえ思いながら、彼と付き合いました。
文字数
452
IA00435 (2019-11-12 評価=4.00)
はじめは、人間恐怖の自分も全く油断をして、堀木を東京のよい案内者くらいに思っていました。