ご存じ『小人国』の物語。愚かな戦争や社会制度、傲慢な政治家など、現代社会と寸分変わらぬ小さい人間たちの醜い世界を、もう一度覗いてみませんか
- IA01257 (2020-10-25 評価=4.00)
ある真夜中、私は騒ぎで眼をさましました。宮廷の人たちが「宮殿が火事です。来て下さい」というので、急いで宮殿に駆けつけました - IA01258 (2020-10-25 評価=4.50)
小さいバケツでは間に合いません。私は前の晩お酒を飲んでいたので、ちょうどおしっこがしたくなりました。そこで火の上に振りかけると三分もしないで火が消えました - IA01259 (2020-10-25 評価=4.25)
消防夫としてお手柄とは言え、宮城内で立ち小便をした者は死刑です。皇帝から特別に罪を許されたものの、皇后は私を嫌い、宮中の一番遠い端に引っ越してしまいました - IA01260 (2020-10-25 評価=4.33)
【この国の風俗】住民の身長は平均15センチ以下、動物も正比例して小さく、一番小さい動物は私の眼にはほとんど見えませんが、彼等は細かいものもよく見えます - IA01261 (2020-10-28 評価=3.50)
この国では学問も古くから発達しており、文字は紙の隅から隅へ斜めに書きます。また、人は死んで生き返ると世界は逆さまになっていると考え、頭を下に土に埋めます - IA01262 (2020-10-28 評価=4.00)
この国では、詐欺は重罪で死刑です。正直なものがだまされるのは防ぎようがないからです。忘恩も死刑で、官職を選ぶ場合も才能よりも徳義が重視されます - IA01263 (2020-10-28 評価=3.00)
【リリパットでの生活】私は庭園の大きな木を切ってテーブルと椅子を作りました。また、二百人の女裁縫師がシャツ、シーツ等を作ってくれました。私の寸法は綱で計りました - IA01264 (2020-10-28 評価=4.00)
服は、三百人の洋服屋がひざまずいた私に梯子をかけて綱で寸法を取ったのですが、寄木細工の様な妙な服ができました。なお食事は三百人の料理人が作ります - IA01265 (2020-10-29 評価=4.00)
テーブルの上に乗った二十人の給仕人が、テーブル下の百人の給仕人から綱で皿や酒を引き上げます。量は少ないものの、牛肉やガチョウ、七面鳥はイギリスよりよい味です - IA01266 (2020-10-29 評価=3.50)
ある日、皇帝の望みで皇帝一家と会食しました。大蔵大臣フリムナップも一緒でしたが、私の大食ぶりを見て、私を養うのはお金がかかるから、追放すべきだと進言したようです - IA01267 (2020-10-29 評価=4.00)
■6 ハイ さようなら■ この国を去る二ヵ月程前から私を狙う陰謀がありました。ある晩、以前世話をした事のある宮廷大官がやって来て、私に心配そうに内証の話を始めました - IA01268 (2020-10-29 評価=4.00)
彼の話によれば、ボルゴラム提督はずっと私を憎んでいましたが、私の大手柄で怨みがより深まり、大蔵大臣フリムナップらと一緒に私を罪人にする弾劾文を書いたそうです - IA01269 (2020-10-30 評価=3.50)
私はむしゃくしゃしてきましたが、彼は弾劾文のコピーを読みあげました。【人間山に対する弾劾文】第1条 皇后の御殿の消火を口実に宮城内で行った立ち小便は、本来死刑である - IA01270 (2020-10-30 評価=4.50)
【人間山に対する弾劾文 第2~4条】 敵国の残りの艦隊を捕らえる命令に従わず、敵国の使節を助けたり慰めたりした。航海の準備をし、敵国を助けようと企んでいる - IA01271 (2020-10-30 評価=4.50)
陛下は大目にみる考えでしたが、大蔵大臣と提督は、家に火を付けて焼き殺そうと会議で発言して陸軍大将も賛成、味方の宮内大臣は眼をつぶすだけにしようと援護したのです - IA01272 (2020-10-30 評価=4.50)
しかし提督は暴れたら大変だ、大蔵大臣も国が貧乏になる、と死刑を主張しました。宮内大臣は失明で刑が軽すぎるなら、食物を減らして飢え死にさせては、と発言しました - IA01273 (2020-10-30 評価=4.50)
結局、失明の刑を装って、餓死の刑を執行することになりました。大臣が失明の刑を告げにくるが、陛下は私が失明なら刑に服すと考えている、と大官は言って帰りました - IA01274 (2020-10-31 評価=4.00)
私は逃げ出すことに決め、大官に手紙を書くと、海岸で軍艦をつかまえて脱いだ着物を積みました。ブレフスキュの港に船を引いて行くと、案内者が首都まで案内してくれました - IA01275 (2020-10-31 評価=4.00)
皇帝と皇后が私を出迎えてくれ、二人とも怖がっている様子はありませんでした。ブレフスキュ島に来て三日目、海で漂っているひっくり返ったボートを見つけました - IA01276 (2020-10-31 評価=3.50)
私は二十隻の軍艦と三千人の水兵を借り、綱を結びつけてボートを海岸まで移動しました。十日ほどでオールを作って港に漕ぎ入り、私は皇帝から故国に帰る許可を得ました