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琴のそら音 (夏目漱石) 57分割入力文の数= 57 <<  1  2  3   >>

占い好きの手伝いの老婆に悩まされる結婚間近の主人公。幽霊研究家の友人からも心霊話を聞かされて…、ちょっと怖い話満載の漱石流ユーモア小説

作家や目的で選ぶ

  • ファンタジー
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    373
    IA02049 (2021-08-16 評価=3.50)

    私(余)は学校の頃の友人津田君の下宿を久しぶりに訪問。午後六時ごろ帰ると飯を食って寝てしまい、湯にもろくろく入れないような忙しい生活を送っている、と不平を言った
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    337
    IA02050 (2021-08-17 評価=3.00)

    津田君は机の上に面白そうな本を広げていて、頁の上に鉛筆で註が入れてある。津田君は「幽霊の本さ」と平気な顔。忙しい世の中、贅沢の沙汰だと思う

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    393
    IA02051 (2021-08-17 評価=4.00)

    津田君が私の新しい家について尋ねる。私が「主人らしい心持ちもないし下宿の方が気楽さ」と答えると「それでも主人だ。所有と愛惜は大抵伴うものさ」と学者らしく説明づける
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    391
    IA02052 (2021-08-18 評価=4.00)

    私が高給の役人でもあるまいし、面倒が増えて困る、とこぼすと彼はとりあえず賛成はしてくれた。私は「それにしても手伝いの婆さんの細かすぎる会計報告が厄介でね」と続けた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    325
    IA02053 (2021-08-18 評価=4.00)

    津田君は「よせばいい」だの「聞いてる振りをすればいい」だの心理学者らしからぬ発言をする。私は「婆さんは主人の言う事を聞かない。例えばおかずについても…」と説明を加える
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    338
    IA02054 (2021-08-22 評価=3.00)

    (私)「見計らって作れと言ってもできないし、逆に何がいいか聞かれても即答できないのだ。味噌汁だって、何を実にするかいくつか考えて、そこから取捨するのは困難だろう」

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    403
    IA02055 (2021-08-22 評価=4.00)

    (津田君)「君が特別に好きなものが無いのが悪いのさ」(私)「婆さんは日本中の宿屋で出すのだから、梅干しの疫病除けまじないはきく、と言って、梅干しを食わすんだ」
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    387
    IA02056 (2021-08-22 評価=4.00)

    (私)「旧弊というより迷信ババアさ。占い坊主の話を聞いて、私を大いに弱らすんだ。紹介してくれた婚約者の母親が、この人なら大丈夫と言うから決めたのに」

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    365
    IA02057 (2021-08-22 評価=4.00)

    (津田君)「婚約者の母親の人選なら確かだろう?」(私)「だが迷信には驚いた。引っ越すと不幸がある、しかも若い女にたたる、という坊主の妄言を信じて独りで心配しているのさ」
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    396
    IA02058 (2021-08-23 評価=3.00)

    津田君は「まだ同居していないのに?」と不思議そうだ。私が「ところで最近近所の犬が遠吠えするようになってね」と話すと、彼は遠吠えと婆さんの関係が分からないと眉を寄せた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    371
    IA02059 (2021-08-23 評価=3.00)

    (私)「婆さんは、あの鳴き声はただ事ではないから、用心しろと言うのさ。犬はうるさくても僕は寝ているから平気だが、婆さんは僕が起きている時に訴えるから面倒でね」
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    356
    IA02060 (2021-08-24 評価=3.00)

    (私)「ところが、まだ四谷にいる未来の細君が風邪を引いたんだ。迷信ババアは今月中に方角のいい所へ御転宅遊ばせ、と言う訳さ。何度も引っ越ししてたら、破産してしまうよ」

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    410
    IA02061 (2021-08-24 評価=4.00)

    「だが彼女は大丈夫さ。咳は少しでるが(たかが)インフルエンザだし」と私が言うと、津田君は「インフルエンザ? よく注意したまえ」と大きな声を出した
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    394
    IA02062 (2021-08-25 評価=3.00)

    「縁起でもない、驚かせるぜ。ワハハハ」と私が不自然に笑うと、彼は親戚がインフルエンザで肺炎になって死んだと言う。「かわいそうでね」と彼は厭な寒い顔をする

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    411
    IA02063 (2021-08-25 評価=3.00)

    私はその親戚の事情を尋ねると津田君は「別段事情はないが、夫は陸軍中尉で戦争に行っていた。結婚してまだ一年足らずだったし、葬式では御母さんが泣いてね―」と気の毒がる
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    338
    IA02064 (2021-08-26 評価=4.00)

    死んだ女の夫の事も尋ねてみると「夫は黒木大将の軍隊にいるんだが、不思議な話があるんだ。連絡が着く前に細君は夫の所へ行っていてね、死んで逢いに行ったのさ」と言う

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    383
    IA02065 (2021-08-26 評価=3.00)

    私が「馬鹿な、怪談か」と反撃すると、津田君は本当だ、と頑固に主張する。津田君は高等学校の時には成績が良く、頭脳明晰だった。なのに婆さんのように愚な事を言う
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    362
    IA02066 (2021-08-27 評価=3.00)

    私は幽霊話は嫌いだが、忙しい私にはこんな話を聞く機会はめったにないし、頭脳明晰な津田君は幽霊の書物も読んでいる。義理と思って自らの態度を改め、話を聞くことにした

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    投稿 TypetrekJさん
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    395
    IA02067 (2021-08-27 評価=5.00)

    (津田君)「妻は夫に、留守中私が死ぬ事があったら、魂だけでもお目にかかりますと言っていたそうだ。そして、出発の前の準備で細君が買った中に懐中持ちの鏡があったんだな」
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    投稿 TypetrekJさん
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    400
    IA02068 (2021-08-27 評価=5.00)

    (津田君)「夫はその鏡を携帯していてね、ある朝、鏡に細君の病気にやつれた姿が現れたそうだ。そしてその事を、死去の通知が着く前に手紙に書いて国元に送ったんだ」