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死刑の前 (幸徳秋水) 30分割入力文の数= 30 <<  1  2   >>

幸徳秋水39歳。戦争礼賛の時代、非戦論を主張した彼は明治天皇暗殺計画に関与したとして逮捕され、証拠不十分のまま死刑を宣告されました。
死刑を前に、冷静に死生観を綴ったエッセイです

作家や目的で選ぶ

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    322
    IA03312 (2023-03-08 評価=5.00)

    ■一 わたくしは、死刑に処せらるべく、いま東京監獄の一室に拘禁されている。
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    353
    IA03313 (2023-03-09 評価=5.00)

    今のわたくし自身にとって、死刑はなんでもない。わたくしを解する人は、この真情を察してくれるに違いない

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    338
    IA03314 (2023-03-09 評価=5.00)

    母でさえかかる成り行きについてはおどろかず、母のことは心配するな、と言ってきた。死刑のため監獄にいるのは、病気治療で福祉施設にいるのと同じだ
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    444
    IA03315 (2023-03-09 評価=4.00)

    ■二 無量無限の形体には、すでに始めがあり、かならず終わりがなければならぬ。これは地球およびすべての遊星の運命でもある

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    433
    IA03316 (2023-03-09 評価=5.00)

    死は貧富などにかかわらず平等である。多くの人は死を恐怖するが、死をまぬがれないことを知らぬわけではない
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    410
    IA03317 (2023-03-10 評価=5.00)

    恐怖の原因は、1)夭折し生を味わえないこと 2)家族と別れ一人死する心細さ 3)財産を捨てるくやしさ 4)事業の中断 5)子孫の行く末の憂慮 6)臨終の苦痛、などの事情にある

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    296
    IA03318 (2023-03-10 評価=5.00)

    要は、迷信・貪欲・痴愚・妄執・愛着などに原因し、これらの事情から解脱できれば死はなんでもない
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    363
    IA03319 (2023-03-10 評価=5.00)

    だが死は親愛・尊敬・信頼する人を失った生存者にはいたましい。生存者の悲哀がくりかえされて、誰もが死をおそれるに至った。死者に悲しみはない。みじめなのは生別である

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    405
    IA03320 (2023-03-10 評価=5.00)

    人間には自己保存本能があるが、種保存のためには自己破壊をかえりみない。前者は利己主義となり、後者は博愛心となる。矛盾するが本来一致・合同させねばならぬものである
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    419
    IA03321 (2023-03-11 評価=4.00)

    種保存は健全なる生活から出て、新陳代謝する。果実をむすぶために花はよろこんで散る。問題は、死にいたるまでいかなる生を送ったかにある。

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    404
    IA03322 (2023-03-11 評価=5.00)

    ■三 天寿をまっとうすることが万人の望みであろう。幾百年かの後、文明が進歩した世の中になれば、人はたいてい天寿をまっとうすることを得るであろう
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    355
    IA03323 (2023-03-11 評価=5.00)

    そのような世の中が早く来ることを望むものの、病原菌が充満し、事故が多く、株や相場も乱高下している今日、自然死は僥倖といわねばならない

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    335
    IA03324 (2023-03-11 評価=5.00)

    多数の権力なき人、富なき人、よわき人などは栄養不足や、過度の労働、有毒の空気などが原因で、天寿の半ばにも達せず死に失せる。事故死も多く、貧困による自殺もある
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    384
    IA03325 (2023-03-12 評価=5.00)

    人間社会では、わたくしのような弱く愚かな者には天寿は望めないし、始めから望まない。人生の社会的価値は人格・事業・広大など周囲・後代への感化・影響にあると信じる

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    418
    IA03326 (2023-03-12 評価=4.00)

    天寿をまっとうできない人が大多数なのだから、自己の分相応の善良な感化・影響を社会にあたえ残しておきたいものだと思う。正岡子規、伯夷らの死は感嘆すべきである
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    346
    IA03327 (2023-03-13 評価=5.00)

    さまざまな理由で、彼らは生死を超脱し、生死ともに社会的価値を有しえた。楠正行、木村重成らは名誉の戦死をした

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    374
    IA03328 (2023-03-13 評価=5.00)

    もし赤穂浪士がゆるされていたら、彼らすべて光栄ある余生を送っただろうか。彼らは満足・幸福に感じて切腹した。死に所を得た死はむしろ賀すべきものだと思う
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    397
    IA03329 (2023-03-14 評価=4.00)

    ■四 といって、長寿をきらうわけではない。伊能忠敬、趙州和尚、孔子などのように老いるにしたがって、ますます識高く徳がすすむ人もいる

  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    404
    IA03330 (2023-03-14 評価=4.00)

    長寿は尊貴かつ幸福だが、才能のある者が長寿となる例は少なく、世を益す事なく、苦しい日々を送る長寿者は夭死(若死に)におよばない。健康・知識は絶頂となる時代がある
  • エッセイ
    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    351
    IA03331 (2023-03-15 評価=5.00)

    「働きざかり」の時代である。元気・精力を要する事業は働きざかりをすぎてはほとんどダメである。古来の革命も、つねに青年の手によってなされてきた