モリーオ市の職員キューストは、人々が集うという伝説のポラーノの広場を探し始める……。作者の生涯を投影した作品とも言われる宮沢賢治代表作の一つ
- IA04487 (2025-01-30)
センダード市の大きな通りには黄色のランプがつるされ、けむりが空に昇っていました。そのうち、鯨油のろうそくを持ったおじいさんが甲高い声で叫びながらやって来ました - IA04488 (2025-01-30)
おじいさんはアセチレン灯に毒蛾が集まるよう「家の中の灯火を消せ」と叫んでいるのでした。火にあたっているアーティストが、おじいさんは撃剣の先生だと教えてくれました - IA04489 (2025-01-31)
床屋の親方が撃剣の先生に挨拶していました。しばらくすると床屋からデストゥパーゴが落ち着かない様子で出て来ました。南の方へ歩きだしたので、私はあとをつけました - IA04491 (2025-02-01)
私が「ファゼーロを渡して下さい。今夜にも警察があなたを捕まえますよ」と言うと、デストゥパーゴはまっ青になって「知らない、警察に捕まる筈はない」と早口で言いました - IA04492 (2025-02-01)
デストゥパーゴは、警察には旅行届も出しており、自分には嫌疑をかけていない筈だと言いました。そして詳しく話しましょう、と言って家に入り、私は応接室に通されました - IA04493 (2025-02-02)
彼は「私は木材乾留の会社を経営していましたが、業績悪化で醸造所にする案が出たのです。しかし無届けで試験醸造を行ったため、部下が私を脅迫したのです」と話しました - IA04494 (2025-02-02)
彼は「経営さえ安定していれば、ファゼーロにも良くしてあげたのだが。でも、あの子はきっとどこかで何かしていますぞ。ロザーロに変わりありませんか?」と言った。私は肯定した - IA04495 (2025-02-03)
■6 風と草穂 私は出張から戻ると9月1日に役所に出勤し、所長に報告書を提出しました。その日は荷物や書類の整理で忙殺され、家へ帰ると疲れて眠ってしまいました - IA04496 (2025-02-03)
ファゼーロにゆすぶられて眼をさましました。彼は「今夜ぼくらの工場へ来ておくれ」と言い、彼がどこに行っていたのか尋ねると、センダードの革染め工場にいたと答えます - IA04497 (2025-02-05)
彼は「最初、家へ入れなくて歩いてたら、革を買う人が車に乗せてくれたのでセンダードへ行っんだ。そこで技師の助手になり、革の加工技術を習ったんだ」と言いました - IA04498 (2025-02-05)
そして「ムラードの森の工場の年寄りたちがぼくに革の仕事をしろ、と言うんだ。ポラーノの広場のちょっと先だから、これから行こう」と言ったので、私たちは出発しました - IA04499 (2025-02-06)
私どもは走りつづけました。つめくさの花が咲く上を、秋の風が吹いていました。そのとき二人の鎌をもった百姓が前を通りました。私たちをみて話をしているようです - IA04500 (2025-02-06)
一人はポラーノの広場にいた男らしく、私がデストゥパーゴに会ったと話すと、男は彼がセンダードに土地を持っており、乾留会社の株が値下がりしたから逃げたのだ、と言いました - IA04501 (2025-02-07)
そして私はデストゥパーゴにだまされている、彼は混成酒の密造を二年もやっていると言いました。そして、私はファゼーロがなめし革の仕事などをしようと考えている事を話しました - IA04502 (2025-02-07)
二人と別れると、私たちは夕やみの中を急ぎました。間もなく先に五人ばかりの黒い影がアセチレン灯を持って立っているのが見えました - IA04503 (2025-02-09)
箱が一つあるきりの広場でミーロが挨拶し、彼等と一緒に先に進みました。しばらくして木くずの匂いがし、細長い屋根が見えました - IA04504 (2025-02-09)
私たちが建物に入ると、中には大きな鉄の罐と沢山の素焼きの壺がありました。ファゼーロがここでかつて三十人が仕事をしていたと言ったので、私はだめになった理由を尋ねました - IA04505 (2025-02-10)
一人が薬価の下落のためだと言うと、ミーロは酢酸を作った方がいい、薬屋に確実に売れると言いました。ファゼーロが賛成し、私にたびたび見に来てほしいと言いました - IA04506 (2025-02-10)
私がポラーノの広場の話をして友だちを誘う、と言うとファゼーロが喜び、選挙用の酒盛りなんかじゃなくて、ほんとうのポラーノの広場をこさえよう、と言いました