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蟹工船 (小林多喜二) 148分割入力文の数= 148 <<   3  4  5  6  7   >>

プロレタリア文学の金字塔「蟹工船(かにこうせん)」。極寒の海で過酷な作業を強いられる労働者たちは搾取に耐えかね、連帯することにした……

作家や目的で選ぶ

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    427
    IA04649 (2025-05-19)

    学生は冷え切っていた。漁が忙しくなると監督の横暴は激しさを増し、前歯を折られたり、叩かれて耳が聞こえなくなる者も出た。作業時間も終了直前に延長された
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    447
    IA04650 (2025-05-19)

    監督は糞壺に来て「蟹が採れない時は暇なんだ。採れる時に長時間働くのは当たり前だ。ロシア人は仕事をぶん投げるそうだが、日本人は違うんだ」などと理屈を言った

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    365
    IA04651 (2025-05-20)

    甲板から日の丸をはためかせた駆逐艦が見えると、漁夫等は涙をためて帽子を振った。二百人近い彼等は疲れて帰った糞壺で毎日しゃべり合ううちに、ある意見がまとまり始めた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    416
    IA04652 (2025-05-20)

    もちろん消極的な者や、別の考えを持つ漁夫もあり、考え方は一つではなかった。そんなある日、炭山から来た男が、前日タラップを踏み外して体を痛め「もう続かねえ、仕事をサボる」と言った

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    406
    IA04653 (2025-05-21)

    炭山は「おらあ、ずるでサボるんじゃねえ」と付け加えた。すると、その日殆ど全員がノロノロと仕事をした。監督は歩きまわるだけで叱責できなかったので、仕事後、皆は大笑いした
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    393
    IA04654 (2025-05-21)

    漁夫たちの様子を見て、船員もサボるようになった。と言っても、ただ身体を楽に使うということでしかなかったが――。そんなとき、中積み船がやって来た

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    432
    IA04655 (2025-05-22)

    中積み船では手紙や荷物も届けられる。ある者は乱暴に荷物を受け取ると、糞壺に戻って解き、子供や妻の手紙、日用品をあさった。ストトン節を歌い始めた男は皆にからかわれていた
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    396
    IA04656 (2025-05-22)

    子供の死んだ報知を受け取り、押し黙っている漁夫もいた。生まれたばかりの赤子の写真を、皆に見せびらかしている男もいた。いずれにせよ、誰もが無性に帰りたいと思っていた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    427
    IA04657 (2025-05-23)

    中積み船に乗り込んでいた活動写真隊が、船で夜映画を映すために乗り込んで来た。「臭い」と言いながら準備をする彼等を、漁夫達は浮かれながら手伝った
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    354
    IA04658 (2025-05-23)

    弁士が「会社は6カ月で500万円(現在価値80~90億円)儲け、株主へ22.5%も配当する。労働者の待遇を劣悪にして儲けてる」と言った。夜、映画会を兼ね蟹缶出荷一万箱祝いをすることになった

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    384
    IA04659 (2025-05-26)

    前列で拍手が起こり、監督が白い垂れ幕の前で何か話し始めたが、誰も話を聞かず、「やめろ、ひっこめ」とヤジも飛んだ。監督が赤い顔でひっこむと、活動写真が始まった
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    390
    IA04660 (2025-05-26)

    映画はアメリカ映画と日本映画で、フィルムは痛んでいて、雨が降り、所々コマが飛んでいた。だが、皆は魅入られ、体格の良い女が登場すると熱狂した

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    376
    IA04661 (2025-05-27)

    アメリカ映画は鉄道が伸び町ができる西部開拓時代を背景にした、工夫と重役の娘との恋物語で、日本映画は貧乏な少年が模範職工から富豪になるまでを描いたものだった
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    419
    IA04662 (2025-05-27)

    成功物語ばかりで「嘘こけ! 俺はなんで社長になってねえんだ」と言った者がいて、大笑いになった。映画の後は一万箱祝いの酒で皆酔っ払い、十二時過ぎまで大声で騒いだ

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    436
    IA04663 (2025-05-28)

    監督の浅川に殴られた事のある男が「浅川を殺してやる」と言って飛び込んできた。火かき棒を持って出て行ったが、翌朝監督のテーブルの道具が壊されていたが、監督は無事だった
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    398
    IA04664 (2025-05-28)

    ■六 柔らかい雨曇りの日、駆逐艦がやって来た。そこから士官連が小さいボートを使って、タラップに船長、工場代表、監督、雑夫長が並ぶ中、本船に上って来た

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    417
    IA04665 (2025-05-29)

    その日、監督や雑夫長は士官らにサロンで応対していたので、漁夫等は気楽に仕事ができた。サロンの中は煙草の煙がこもり、皆酔っぱらって大声を出していた。
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    410
    IA04666 (2025-05-29)

    給仕はサロンから出て来ると、漁夫等に中ではくだらない話ばかりで、何しに来てるのか分からないと言った。漁夫等が食堂に行くと「飯のことで文句を言うな」という監督のビラが貼られていた

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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    393
    IA04667 (2025-06-01)

    飯の後、漁夫達はストーブを囲み、兵隊時代の話などをした。サロンで騒いでいる音は夜明けまで続いていたが、士官連はその後駆逐艦に帰って行ったらしい
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    投稿 TypetrekJさん
    文字数
    416
    IA04668 (2025-06-01)

    タラップには嘔吐物も残っていた。監督や雑夫長などは昼になっても起きて来ず、コック部屋の隅には空の缶詰やビール瓶が山積みされていた